ともちゃん の日常41


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2009年9月5日以前(ともちゃんの日常40へ)

2009年9月

17日(木)
「スポーツ大会」

22日(火)
「あいとうマーガレットステーション」

27日(日)
「ちょこっと高速3本乗継ぎ」

2009年10月

28日(水)
「うつ伏せと歯磨き」

2009年11月

8日(日)
「残念ながらフェスタは欠席」

18日(水)
「母悩む」

2009年12月

18日(金)
「クリスマス会」

2010年1月

1日(金)
「2010年元旦」

10日(日)
「手作りの成人を祝う会」

21日(木)
「H園新成人を祝う会」

2010年3月以降(ともちゃんの日常42へ)


2009年9月17日(木)

今年は秋が早い。涼しくなって、寒くなって、夜、寝ている時の温度調節も難しくなってきました。それとともに、ともちゃんの体調も、夏の絶好調を保てなくなってきました。ウトウトとしんどくなって、お粥ペーストを食べるのに時間がかかり、全部食べきれない日もあります。頑張って食べさせようとすると、食べることに疲れて、またウトウトしてしまいます。痰も増えてきて、吸引する回数が増えてきました。昼間、置かれて横になっている時も、フンガー、フンガーと空気の通りが悪い音がしています。

 先日、お姉ちゃんがともちゃんの傍に寝ころんで話しかけていました。「今週は木曜日にH園のスポーツ大会やろ。」、「ハン!」。今まで、ぼんやりと反応の鈍かったともちゃんが、目をランランとさせて話に乗ってきました。「シュー、タタタタターって走るん?」、「ハアーン」。ともちゃんは、張切っています。その後、また別の話題になった時には、ともちゃんは乗気でない返事になりました。ともちゃんは言葉を解しませんが、雰囲気はちゃんと感じていています。お母さんは、スポーツ大会当日、ともちゃんが元気でしっかりと楽しめるようにと、祈っていました。

 ところが、スポーツ大会の今日に限って、朝食のお粥ペーストを食べている時に、1分間余りガクガクと痙攣を起こしました。てんかんの強直間代発作です。無理は禁物ですが、経験的に、しっかり眠ってすっきりと目覚めれば、発作のダメージを回復できて、後は普通に生活できます。通園のための送迎サービスは、10時半にお願いしています。ともちゃんが10時までに起きて元気なら通園、そうでなければ、残念ですがお休みしようと決めました。この頃、ともちゃんは置かれて寝ると、舌根沈下でフンガー、フンガーと息苦しくなって、眠りが浅くなるため、お母さんはずっと抱っこで寝かせることにしました。

 ともちゃんはすぐにウトウトしだし、ストンと眠りに落ちました。眠ってすぐは、心拍数が毎分130回と速かったのですが、30分くらいすると110回台に、40分経つと100回/分に落着いて、よく眠っています。10時になってもともちゃんが起きなければ、お休みの電話を入れようとお母さんは時間を気にしていましたが、10時前にニューっと伸びをして目覚めました。しばらく背中をトントンと軽くたたいて、さらなる眠りを促しましたが、しっかりと目を開けました。お母さんがともちゃんの表情を注意深く覗き込むと、ともちゃんはニッコリ笑いました。

 送迎の車の中では、ともちゃんは笑ったり、声を出したりしていましたが、園に着いて車椅子に乗ると、いつもより筋緊張による反りが強かったです。それで、見学のテントの中でも、競技に参加するのも、ずっと抱っこして貰っていました。ともちゃんが参加した競技は、玉入れと風船バレー。どちらもデイセンターとワークセンターの対決です。

 玉入れでは、地面に置かれたそれぞれの囲いの中に、玉をたくさん入れると勝ちですが、デイの囲いの中にはサル(の着ぐるみを着た職員さん)が、ワークの囲いの中にはクマがそれぞれ居て、入れられた玉を外に出して邪魔をします。ともちゃんは、囲いの真ん前に陣取って、玉に触れさせて貰っては入れていました。時々、後ろから飛んできた玉が当たるので、後ろが気になるようでした。

 風船バレーは、デイセンターのメンバーさんとワークセンターのメンバーさんが、ネットのつもりの幕を夾んで、それぞれ向かい合ってペアになって、ずらりと並んでいます。幕の上の端には、紐の付いた風船がペアの数だけぶら下げられています。各ペアが1対1で風船を打ち合い、終了時に相手側に風船を返していた方が勝ちというものです。ともちゃんも、職員さんと風船を返していました。

 お母さんは、「ともちゃんがしっかり覚醒して、スポーツ大会を楽しめるように」という大それた願いはさっさと捨てていて、ぎりぎりで参加できただけでも嬉しく思っていました。園を休んでいれば、後でともちゃんはがっかりしたことでしょう。たとえ、ともちゃんが眠くなって、ぼんやりしていたとしても、心のどこかに「なんか賑やかだったなー。」という感覚が残っていればいいと思っていました。帰りに職員さんから、「最後まで楽しんでおられましたよ。」と教えていただき、連絡帳にも、笑っていたことが書かれていました。良かった、良かった。

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2009年9月22日(火)

今年は、9月19日(土)から23日(水)まで、敬老の日と秋分の日、それにその間のドミノ休日も含めて5連休になるという巡り合せでした。ともちゃんは、連休の前半はしっかりと休養して、元気を取戻しました。今日は、道の駅「あいとうマーガレットステーション」まで、ちょっと早いコスモスを探しに行きました。ともちゃんは、車の中では「ヌオー、ヌオー!」と大きな声を出し、喜びを表していました。

 京滋バイパスは、名神高速との合流地点で早くも渋滞しているということなので、手前の笠取インターチェンジで高速を降りました。高速とは打って変って、曲がりくねった山道を谷底の瀬田川を目指して急降下し、そこからは瀬田川沿いに走ります。県道から国道422号線に入っても川幅は狭く、くねくねとした山道は続き、お母さんに抱っこされているともちゃんも、激しく揺られていました。

 ようやく川幅が広くなって、知っている瀬田川の様相になりました。もう、道もむやみに蛇行しません。石山寺が見える頃、ともちゃんは、「ホォーーー」と大きく息を吐いて、ニッコリと笑顔を見せました。そう言えば、高速を降りてから、ともちゃんに声や笑顔はありませんでした。山道が苦手で、車酔いをしたこともあるともちゃんは、ここまでの走行を耐えて緊張していたのでしょう。

 国道422号線から1号線、8号線へと入って、目的地を目指します。8号線沿いで、道の駅「アグリの郷、栗東」の標識を見かけました。ともちゃん同様、山道を耐えていたお母さんは、ここでもいいなと思いました。次に現れたのは、道の駅「竜王かがみの里」の標識でした。走行中、標識が度々現れて、最後には道の駅「竜王かがみの里」そのものが、国道の右手に見えてきました。

 「もう、ここにしたら。」、お母さんは目的地変更を提案します。ともちゃんが「アーン」と大きな声を出しました。初志貫徹したいお父さんは「なあ。ともちゃんは嫌やって言うてるやん。」。「ともちゃんは、笑いながら声出したはったから、『賛成』って言うたんやって。」とお母さんも反論。ともちゃんを味方に付けた方が絶対有利なので、ともちゃんの返事はそれぞれ好き勝手に、都合良く解釈されてしまいます。

 そうこう言う内に、道の駅「竜王かがみの里」を通り過ぎてしまいました。でも、国道沿いの建物の後ろに黄色く稲穂が実った田んぼが広がり、あぜ道に咲く彼岸花の赤が目を引く秋ののどかな田園地帯を走るドライブは、もう苦ではありません。田舎道のドライブを小一時間続けると、道の駅「あいとうマーガレットステーション」に到着です。

 「あいとうマーガレットステーション」は、思いの外混雑していて、新型インフルエンザを警戒しているともちゃんは、マスクを着けて下車します。レストランでのミルクの注入も、鼻腔から胃に通したチューブをマスクの端からうまく出して、マスクははずさずに行いました。食後は付近を散策。建物の裏手にある畑には、秋の野草と一緒に、たくさんのキバナ(黄花)コスモスが咲いていました。コスモスに囲まれて、ともちゃんもニコニコ楽しそうです。

 この道の駅は花がテーマなので、お土産屋さんにも花関係のものがたくさんありました。お父さんが「これなんか、きれいでええやん。」とドライフラワーの花かごをお土産に薦めてくれました。いやいや、デイセンターでフラワーアレンジメントクラブに所属するともちゃんです。ここは、完成品ではなくて家で自分でアレンジメントをしようと、素材のドライフラワーとソフトクリームコーンの形をした花器、アイス色のオアシスを買いました。

 お姉ちゃんにも滋賀県産のブルーベリージャムとケーキを買って、まだ混雑していない下りの名神高速を通って帰りました。往路とは比べものにならないくらい、すんなりと楽に帰り着きました。大変な往路でしたが、「あいとうマーガレットステーション」まで行って本当に良かったです。ともちゃんも満足そうにしています。季節によって色々な花畑があって、花の摘み取りもやっているとのことなので、また是非、今度は瀬田川沿いの道は通らずに訪れたいものです。

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2009年9月27日(日)

大阪生れ、大阪育ちのともちゃんにとって、滋賀県は遠いところ。琵琶湖を望む風景は非日常空間で、リゾート気分にひたれます。京都に引越した今となっては、琵琶湖はそんなに遠いところではありません。今日は前々からお出かけの予定でしたが、家を出る時間が遅くなってしまいました。そんな時こそ、琵琶湖が見られてお出かけ気分を満喫できる大津です。名神高速の大津サービスエリア、今回は上りのサービスエリアのレストランで、琵琶湖を眺めながらミルクの注入をしようと出かけました。

 今日のお出かけが遅くなった大きな理由は、朝、ともちゃんの経管栄養のチューブを入替えていたからです。ともちゃんの主たる栄養であるミルクを注入するチューブは、週に一度交換しています。平日は忙しいので、土曜もしくは日曜の朝に、お母さんが入れています。お出かけの予定がある時は、その日を避けるようにするのですが、今回は全く忘れていました。その上、ともちゃんに少し硬直の発作があったので、様子を見ながらゆっくりめに朝食を進めました。お出かけを諦める必要はありませんでしたが、出かける時間は遅くなりました。

 既に、名神高速上りの京都南インターと、京滋バイパスの瀬田東ジャンクションで渋滞が始っていたので、ここは避けます。地道を行きながら、伏見から上鳥羽までと、鴨川東から山科までだけ開通している阪神高速8号京都線を通りました。どちらも、ほんの少しだけ高速に乗るという感じで、一般の人には役に立たないと見えて、とても空いています。鴨川東から山科までは、ずっと稲荷山トンネルの中です。このトンネルは、以前大津びわこ館からの帰りに、逆方向に一度通ったことがありました。山科までやって来ると、京都東インターから名神高速に入って、大津サービスエリアは目と鼻の先。

 お父さんが選んだ、ちょこっと高速3本乗継ぎの経路は、なかなか良い選択でした。ともちゃんは、するするすると大津サービスエリアまで来て、まだ本格的に混雑する前のレストランで、角の窓際に陣取ることができました。でも、すぐに観光客が押寄せてきて、レストランはあっという間に混雑してきたので、間一髪のところでした。琵琶湖の長手方向の底辺に位置する大津から北北東を眺めて、「左手の出っ張りは柳が崎、湖の真ん中にあるように見えるのは烏丸半島、琵琶湖大橋もうっすら見えてるな。」。ともちゃんは、結構、琵琶湖通です。

 上りの大津サービスエリアは、駐車場のある1階には屋台くらいしかなくて、1階から少し下がった中地下1階がレストラン、少し上がった中2階がスナックコーナーと売店になっています。注入を終えたともちゃんは、エレベーターで中2階に上がりました。しかし、ここも大混雑で、スナックコーナーの席が無いことが繰返しアナウンスされていました。ともちゃんは、自分用に甲賀忍者キティの根付け、お姉ちゃんには抹茶のバームクーヘンを買って、早々に退散しました。屋外で、琵琶湖を背景に写真を撮って、帰路につきます。

 大津サービスエリアはインターチェンジ併設なので、そのまま名神高速を降りて地道で山科まで行き、阪神高速8号京都線を乗継いで帰りました。今回、往復共に京都線を乗継いだことで、伏見から上鳥羽までだけ通行しても、その後、地道を経由して鴨川東から山科に乗継いでも、同じ料金で通行できることが分かりました。行きは、伏見から上鳥羽まで250円だったのですが、鴨川東をETCで入ると「料金は0円です。」と言われ、「いつの間に高速0円になったん?」と不思議に思っていたのです。今日も、短時間で楽しいお出かけをしたともちゃん。これからも、大津、琵琶湖方面はともちゃんのお気に入りのお出かけ先になるでしょう。その経路として、阪神高速8号京都線という強い味方ができました。

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2009年10月28日(水)

 9月は1ヶ月間で6日通園という快挙を成遂げ、順調に通園していたともちゃんですが、10月に入ると咳込みと硬直発作が多い日があって、お休みをしました。一方、巷では新型インフルエンザが猛威をふるっています。地方紙に載っている学級閉鎖等のお知らせの数も日に日に増えて、今ではかなりのスペースを割かれるようになってきています。ともちゃんの住んでいる地域も例外ではなく、多くの学校の学級閉鎖が伝えられています。そんな中、ともちゃんの通園施設でも職員さんが感染されたと聞き、予防のためのお休みもしました。

 重い神経障害があり在宅酸素のともちゃんは、追っ付け始まる新型インフルエンザワクチンの接種で、基礎疾患のある人として優先接種者に該当しています。しかし、ともちゃんには卵アレルギーがあるので、接種できません。ワクチンは鶏卵で作っているので、例年の季節インフルエンザでも、一度も予防接種をしたことはありません。それで、ともちゃんへの「感染経路を経つ」という方針のもと、手洗い・うがい・マスクを徹底して、予防しています。

 今の時期、ともちゃん自身はできるだけ危険な場所には近付きません。病院も、採血や採尿などが特に必要でない場合は、お母さんだけが受診して、いつもの薬を貰っています。それで、週1回通う通園施設でのインフルエンザの流行の様子も、その都度お聞きして、ともちゃんにとって心配だと思った時には家族が独自に判断して、自主的にお休みさせて貰っています。ともちゃんにとっては残念でしょうが、感染すると大変なことになるので、しばらくは辛抱です。そんなこんなで、10月の通園は1日だけでした。

 通園するのは少なかったのですが、訪問は充実して過ごしています。ともちゃんは、週2回のホームヘルプには順調に来て貰っています。最近は、ホームヘルプの後半に「うつ伏せの姿勢をとる」ということも習慣になりました。養護学校時代、週に1度訓練の先生が訪問して下さって、リハビリをして貰っていました。ともちゃんは、拘縮した体を伸ばして貰った後に、排痰を促し、筋緊張がとれるうつ伏せの姿勢をしていました。普段の生活の中では、ともちゃんはうつ伏せの姿勢になることはありません。

 卒業後も家庭で続けられるようにとお母さんが先生に教えて頂いていたのですが、昨年度は体調不良も多くて、習慣となるほどはできていませんでした。養護学校時代に装具屋さんで作ったうつ伏せ用のマットの上に、お母さんとヘルパーさんの2人がかりで「よいしょ。」とともちゃんをうつ伏せにします。先生の様に細かいところまで気を配って姿勢を作ることはできませんが、足の突張りが治って落着くと、筋緊張がとれて心地良いのか、そのままウトウトと眠ることが多いです。

 ともちゃんは、今年の春から歯科衛生士さんの訪問指導も受けています。昨年の秋、歯科治療が一段落してともちゃんが冬ごもりに入る際に、通園施設で訪問指導のことを教えて頂きました。ですが、この後の体調不良と入院で、なかなか来て貰うことができませんでした。今では、約2週間に1度、こちらも習慣になりました。ともちゃんは、口腔内を触られることに過敏で、緊張が入ります。それで、奥歯のかみ合せの虫歯や、抗てんかん薬の副作用のために増殖して奥歯に覆い被さる歯肉が、磨きづらいのです。

 定期的に歯科衛生士さんにきれいに磨いて貰うと同時に、磨きやすい歯ブラシを選んで紹介してもらい、お母さんも磨き方を教えて貰いました。毎日、お母さんにも磨いて貰っているうちに、少しずつですが緊張がとれて、歯磨きがしやすくなってきました。もともと歯磨きが好きなお母さんは、これ以上虫歯をひどくしない、歯肉を増殖させないと意気込んでいます。社会人2年目、今年は体調が落着いていたので、訪問での活動が広がりました。

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2009年11月8日(日)

 11月3日(火)の文化の日は、ともちゃんの通園施設H園のフェスタでした。地域の人達にもH園の園庭を開放して行われる恒例のお祭です。昨年はフェスタを楽しんだともちゃんは、今年もフェスタを楽しみにしていました。しかし、朝晩が冷込んでくるにつれて、痰が多くなったり、ウトウトと眠くてお粥が食べられなかったりと、体調が優れない日が多くなっていました。てんかん発作も少し多くなっているようです。その上、前日からの寒波襲来で、残念ながら今年のフェスタは欠席しました。

 前の週に、園の職員さんから様子伺いの電話をいただいた時のことです。ともちゃんは、園で新型インフルエンザの患者が出たためにお休みしたのですが、「丁度ともちゃんの体調も悪かったので。」という話をお母さんがしていると、ともちゃんは、受話器を持つお母さんの方を見つめながら「私は元気やで! フェスタには参加するで!」というオーラを発しながら、小さく声を出していました。それで、ともちゃんが元気で、園でインフルが流行っていなければ、多くの人が出入りしますがマスクを着けて参加しようと思っていました。

 けれども、寒くなったことが追打ちをかけて、ともちゃんの体調は今ひとつのまま元気を取戻せませんでした。園への「フェスタはお休みします。」の電話に文句を言うこともなく、当日のフェスタの時間帯は、家でウトウトと眠っていました。ともちゃんには「H園は学校と違って卒業がないねん。今回お休みしたけど、これからずっと何十回も、おばあさんになっても参加できるから、大丈夫!」と話しました。「次回は元気で参加しようね。」と思えることは、ともちゃんにも、家族にも、大きな励みになります。

 フェスタの後も、しばらくは冬ごもりの状態だったともちゃんに「手作りの成人式を祝う会実行委員会」から「新成人を祝う会」の案内が届きました。障害を持つ人達の成人式を家族や親しい人達でお祝いしましょうという会です。ともちゃんは、案内状を読んで貰い、お母さんに「行こなー。」と声をかけられて、にっこりしていました。新成人を祝う会は人生で一度のもの。1月の寒い最中ですが、ともちゃんの体調が良ければ、短い時間でもぜひ参加したいです。その頃には、巷に溢れるインフルエンザも一段落していることを願って止みません。

 このまま季節も冬になって、ともちゃんも本格的に冬ごもりに突入するのかと心配しましたが、週末になって暖かくなると、元気を取戻しました。家族の話しかけにも良く反応して、たくさん笑顔も見せてくれます。新成人を祝う会の話にも、楽しそうに目を輝かせて乗ってきます。そうなると、家族でともちゃんのお祝いの準備も盛上がります。祝う会には新しい洋服を着て行こうと、お姉ちゃんに抱っこして貰ってパソコンの画面を見ます。ネット通販で、どんな洋服を買うか相談です。

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2009年11月18日(水)

 ともちゃんのお母さんは、ともちゃんが通園を予定している日は朝から時間を意識しつつ、ともちゃんの様子を注意深く観察しています。通園するまでに朝食のお粥を食べられるということがともちゃんの体調の一つの目安で、通園するかどうかの判断をしています。この習慣は、ともちゃんが養護学校小学部に入学した時からずっと続いています。高等部で京都に引越して訪問学級に転入してからは、通学するか、訪問して貰うか、お休みするかと選択肢は3つになりました。

 今日は通園日です。先週の通園日にはデイセンターの職員さんに訪問して頂き、しばらく通園できていないので、できれば今回は通園させてあげたいと思いました。昨日、園にインフルエンザの状況をお聞きしたところ、今週に入ってからの感染者は出ていないとのことでした。通園のチャンスです。ともちゃん自身の様子はといえば、一昨日はヘルパーさんの訪問に大喜びして通園への意欲も満々だったのですが、冷たい雨が降った昨日はすっかり冬ごもりモードになっていました。

 昨日の時点で、今日も12月並の寒さになるという天気予報だったので、ともちゃんに「明日は訪問して貰って、成人を祝う会に着ていくドレスを見て貰おか。」と勧めてみました。すると、冬ごもりモードでおとなしいともちゃんが、にっこり笑って声を出してくれました。訪問にしましょう。今朝起きがけに、ともちゃんに30秒くらいの強直間代発作がありましたが、お休みにする程ダメージが強いようでもなさそうだったので、ゆっくりと朝食のお粥を食べて、11時に訪問して貰うのなら大丈夫でしょう。

 ともちゃんは、ミルクの注入をした後、いつも1時間あけてお粥を食べています。ミルクの注入を済ませた後、ウトウトしかけてきたので、お粥までの間、少し眠って休養すれば、ちょうど良いと思いました。ところが、ともちゃんは眠いのに寝られません。目を閉じかけても、すぐに開いてしまいます。発作の興奮が残っているのでしょうか。いや、声かけにもちゃんと反応して、訪問して貰うことを楽しみにしているようなので、寝ている場合ではないと気がはやっているのでしょう。「大丈夫。訪問に来てくれはるから。ぼつぼつ食べよか。」。

 結局寝ていませんが、お粥の時間が来たので食べ始めました。すると、今度は硬直の発作が入り、そのままガクガクと強直間代発作に移行しそうになりました。何度かそうなって、30秒くらいで止まりました。ともちゃんが、落着いたので、ゆっくりとお粥の続きを食べます。ともちゃんは頑張っているのですが、うまく食事は進みません。口に入れたお粥を、うまく喉に運んでごっくんと嚥下することができず、べーっと流れ出てしまいます。けいれんの気配が残っているので、食べにくいようです。

 9時を過ぎたので園に電話をして、訪問して欲しいとお願いしました。「な、これで絶対来てくれはるから、安心して食べよな。」。仕切り直して食べ出しましたが、再び硬直から強直間代発作に入りかける発作が起こりました。頑張って食べようとしてきたともちゃんにはかわいそうですが、もう食べるのは止めて今回は訪問も諦めましょう。10時15分、園に電話をかけて事情を説明して、今日の訪問はやっぱりお休みにする旨を伝えました。お母さんが電話をしている傍で、ともちゃんは小さな低い声を出していました。

 ともちゃんは、言葉は理解していません。しかし、回りの人達の雰囲気から、楽しいことが待っているということは敏感に感じ取って、期待します。眠くて少し寝た方がいいのにと思うような場合でも、ともちゃんは張切ってしまいます。それでも、お母さんがどっしりと落着いていれば、ともちゃんも落着いて眠ることもあるのですが、予定の時間が迫ってくるとお母さん自身も気が急いて、焦る気持ちがともちゃんに伝わってしまいます。

 ここは、のんびりと時間に追われることなく、ぼんやりしましょう。お粥が食べられなかったら、食べなくてもいい。寝られなかったら、寝なくてもいい。ぼんやりしている内に、けいれんの気配が落着いて少し元気が出てきたらお粥を食べてもいいし、そのまま眠くなってきたら好きなだけ眠れば良いでしょう。この後マイペースで過ごしたともちゃんは、訪問を予定していた時刻にはウトウト眠っていました。今日は1日ゆったりと過ごして正解でした。何度も眠って、夕方には元気を取戻していました。

 ともちゃんは、寝ることと食べることを中心に、「健康第一」で生活しています。それならば、朝何か予期せぬ問題が起った時には、迷わずお休みすれば良いのではないかという考え方もできます。けれど、もちろん無理は禁物なのですが、体調が許すのであればともちゃんに楽しい刺激を与えてあげたいと、家族は思います。ともちゃんの生き生きとした笑顔は、ともちゃんの生活の質を高めるだけでなく、生きる意欲にも繋がり、精神的な面からともちゃんの健康を支えているような気がするのです。そんな訳で、お母さんは毎回ギリギリの時間まで、通園か、訪問か、お休みするか悩んでいます。

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2009年12月18日(金)

11月最後の週から、ともちゃんは順調に週に一度デイセンターへ通園しています。ともちゃんが通園する日は、運良く小春日和が続いてたし、園の関係者の新型インフルエンザ感染も落着いてきました。さあ、次は園のクリスマス会参加を目指そうという気持ちが、家でも、園でも盛上がっていました。

昨年のクリスマス会は、残念ながらともちゃんは参加できませんでしたが、クリスマス会を録画したビデオを見せて貰いました。同じ園の支援センターから来て頂いているヘルパーさんが持ってきて下さったのです。おしゃれ大好きなともちゃんが特に注目していたのは、デイセンターの女子の出し物、ファッションショーでした。楽しそうなクリスマス会の様子に、今度は是非参加したいと思っていました。

 今年のクリスマス会はビンゴ大会をすることになっていて、ファッションショーはありません。でも、去年のそれぞれにドレスアップしたメンバーさんの晴れやかな顔が焼付いていて、お母さんはずっとともちゃんに「おしゃれして、クリスマス会に行こな!」と話しかけていました。家族もそれに同調するので、そうでなくてもおしゃれ好きなともちゃんは、すっかりその気になっていました。「おしゃれ」と言えば、先日お姉ちゃんとネット通販で買った成人式用のボルドー色のワンピースがあるのです。

 とはいえ、せっかくの成人式用のドレスをクリスマス会に着て行って、もし汚してしまったら、ちょっと残念なことになります。気になったお母さんは、ともちゃんに尋ねてみました。「成人式のドレス、クリスマス会に着て行って汚れたら、成人式の時に困るやろう。(クリスマスには)卒業式のドレス着てく?」、「・・・」。「やっぱり、成人式のドレス着たい? 汚れたらクリーニングに出して、成人式に着て行くことにする?」、「ウーン」。決まりました。

 成人式のワンピースを着て行きましょう。もし、汚れてしまっても、その時はその時のことです。ともちゃんは言葉を理解している訳ではありませんが、ともちゃんの答には力があります。ボルドー色のワンピース、黒いレギンスに合せて、成人式には黒いムートン調ブーツを履いく予定ですが、クリスマス会は室内であるので、お姉ちゃんが黒いハイソックスと黒い室内履きを用意してくれました。

 さて、これまでの暖冬とは一転、昨日から寒波がやって来ました。2月並みの寒さもなんのその、ともちゃんは張切って登園しました。まずは自分のグループの部屋でお気に入りのドレスを見て貰って、バイタルチェックを済ませ、会場のホールへと向かいます。ともちゃんは、今日もインフルエンザ予防のためにマスクをしていますが、ホールの入口からクリスマスソングが聞こえてきて、マスクを通してでも十分に分かる笑顔で職員さんとホールの中に消えて行きました。

 お母さんが迎えに戻ると、ともちゃんは賑やかな中で抱っこされて、楽しげにミルクの注入をしていました。会場でも、よく笑っていたということでした。ビンゴは、斜めに2ヶ所は当たったのですが、最後の1ヶ所がなかなか決まらず残念だったそうです。賞品は当たらなくても、楽しかったからそれが一番、満足そうです。サンタさんの格好をしたワークセンターのメンバーさんから、デイセンターのメンバーはクッキーのプレゼントを貰いました。デイセンターからワークセンターへは「まいどレーヌ」をプレゼントしたそうです。

 ともちゃん、寒い中でも念願のクリスマス会におしゃれして参加できて良かったね。ともちゃんがクリスマス会を楽しんでいる間、お母さんはワークセンターがやっている2階の喫茶店でお茶を飲んでいたけど、ワークセンターの部屋から出て来たサンタさんが、喫茶店の横を通って行くのを見たよ。ともちゃん達にプレゼントを届けに行ったんだね。次は、このドレスで、成人式に参加しようね。

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2010年1月1日(金)

2010年1月1日5時50分、ともちゃんが目覚めました。昨夜は少しだけ紅白歌合戦を見て寝室に行ったともちゃんですが、明け方4時半に筋緊張が強くなって、置かれたままでは足を突張るのでお母さんに抱っこしてもらって、また眠っていました。お母さんは、ともちゃんを抱っこしたままでまだ寝ていますが、ともちゃんは機嫌よくアーアーと声を出して「起きますよー。」と言っています。

 ともちゃんの朝食は、経管栄養として注入したミルクと、注入後1時間程空けて口から食べるお粥ペーストです。今日は、いつものサツマイモのお粥以外に、家族と一緒に白みその雑煮も頂きました。食物アレルギーのあるともちゃんなので、もちろん家族のものとは別の鍋で大根と金時人参だけを少しの白みそで柔らかく煮ました。ミキサーにかけると金時人参の赤が鮮やかで、ともちゃんの食卓も紅白の料理が揃い、めでたいお正月です。

 ともちゃんが起きてきた時には真っ暗だった空は、雲に覆われたまま夜が明けました。ともちゃんが、ゆっくりと、でもしっかりとお粥を食べ終えて、その後一寝入りしているうちに雲が切れてきました。外の気温は低いようですが、家の前の畑には明るい陽が差しています。ともちゃんと家族が元気で新年を迎えられたことを嬉しく思います。今年のともちゃんは、10日には地域の、21日には園のと2つの成人式を控えていて、家で静養を心がけます。

 ともちゃんは、元旦正午から始まるファッション通販サイトのバーゲンで成人式に持って行くバッグを選ぼうとお姉ちゃんと約束して、楽しみにしていました。お父さんに抱っこされて昼食を食べながら、お姉ちゃんがたくさんの商品の中から探してくれたバッグの画像を見せて貰います。家族のみんなにあれこれ言われながら、ドレスが落着いた色合いなので、キラキラピンクのきれいなバッグに決めました。

 ともちゃんに、「早く、バッグ届くとええな。」とお姉ちゃんが話しかけると、ニコニコして「オーン」と答えています。「バッグの中に何を入れていくか考えなあかんな。」とお姉ちゃん。「マイ『ウェルパス』(アルコール手指消毒スプレー)とぉ、予備のマスクとぉ、」とお母さん。インフルエンザ対策も大切ですが、ともちゃんはもっとおしゃれな物を入れて行きたいと思っていることでしょう。

 ともちゃん・お母さん組vsお姉ちゃんvsお父さんでトランプもします。昨年末から折をみて対戦していて、ずっと得点を加算して続けているものです。ともちゃんは、お母さんに抱っこされて手持ちの札をチロッと見たり、「フヒヒ」と声を出して笑ったりと策士の貫禄です。お母さんに「どの札捨てよか?」と相談されていました。こんな風にして、のんびりとともちゃんの元旦は過ぎていきます。今年も元気で楽しく過ごせますように。

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2010年1月10日(日)

ともちゃんの年末年始は成人式の準備で盛上がっていました。20歳になって、もうサンタさんが来なくなったともちゃんは、家族からドレスの上に来て行く白いケープをプレゼントしてもらいました。お正月には、ネット通販サイトのバーゲンで、お姉ちゃんとバッグを買いました。年明けのバーゲンを見に行ったお姉ちゃんとお母さんが、キラキラのリボンの髪飾りをお土産に買ってきました。

 筋緊張が強く、腕が思うように伸ばせないともちゃんにとって、防寒用の上着の袖を通すのは大変な作業なので、袖を通さずに着られるケープはありがたいです。最近、華やかでかわいいデザインのものをたくさん見かけるようになって、お母さんとお姉ちゃんは、ともちゃんにぴったりのものをずっと探していました。そして見つけたのがフェイクファーのモコモコとした暖かそうなケープ、ともちゃんにぴったりです。

 ケープ、ボルドーのドレス、ドレスと同色のコサージュ、ピンクのスパンコールのバッグ、黒いムートン調のブーツ、髪飾り、揃える毎に順々にリビングに飾って、衣装合せが完成するのを楽しみました。訪問していただいたヘルパーさんにも見てもらい、話が弾みました。準備から楽しんできたともちゃんですが、興奮し過ぎたのか一週間前になって、夜中にギャハギャハ騒いだり、強直間代発作が続けて起って、抗てんかん座薬を使ったりする事態になりました。そこで、成人式直前は静かにして、ともちゃんの体調を整えることに徹して過ごしました。

 こうして迎えた今日は、ともちゃんがずっと楽しみに待っていた成人式の1つ目、地域の「手作りの成人を祝う会」主催の成人式です。「手作りの成人を祝う会」は、ともちゃんが卒業したM養護学校の卒業生を対象として、お祝いしたい人は誰でも参加できる、みんなで新成人を暖かく祝おうという会です。実行委員さんからの招待状を受取った後も、電話やクリスマスカードをいただきました。「もし今年体調不良で参加できなくても、来年また参加できるのでご安心下さい。」と言って下さいました。

 ここ1週間ほどは成人式の話題を封印して過ごしてきたおかけで、ともちゃんは元気です。会場へ向かう車の中で、声を出してはしゃいでいました。プログラムによると、今年の新成人の参加者は19名。美しく花が飾られた会場には、白いクロスの掛けられたテーブルがいくつも並んでいて、新成人の名前が書かれた札が間隔を空けて余裕をもって置かれ、新成人を囲んで同伴者やお祝いの人が一緒にテーブルに着けるようになっていました。テーブルの真ん中にも花が生けられていて、結婚式の披露宴のようでした。

 開会までの時間に、新成人は到着した順番に記念写真撮影をします。室内は暖かいのですが、せっかくなので、ともちゃんはケープを着て撮りました。でも、今日出る時は一段と寒くて、ワンピースの下にはヒートテックを2枚も着ているし、車の中でたくさん笑ったので筋緊張が強くなっていて、ともちゃんは汗びっしょりでした。席に戻ってケープを脱いだら、笑顔が戻って来ました。

 お祝いに駆けつけて下さった職員さんや先生と、笑顔で写真も撮りました。久しぶりのお友達とも会って、それぞれにかわいいブーツや柄タイツでおしゃれした姿や、豪華な袴姿を見せ合いました。振袖やスーツ姿、それぞれに着飾った新成人が集う華やかな会場は、お祝いのために来て下さった人々と、成人を喜び合う暖かい空気で満ちていました。祝う会は、お琴の演奏で盛大に始まりました。市町村が主催する一般の成人式とは異なるのに、この地域2市1町の市長、町長さんが全員参加して下さっています。

 お琴の次は、集合写真を撮るために、新成人は舞台上に並びます。ともちゃんは、お父さんに抱っこされて、勧められるままに真ん中に陣取りました。最初はおすまししていたともちゃんですが、そのまま新成人紹介、新成人代表の言葉とプログラムが移っていくに従って、舞台上でリラックスしてきました。回りをキョロキョロと見渡したり、楽しそうにキャハハハハと笑ったり、最後には代表者が新成人の言葉を発表している後ろで、ニコニコしながらハアン、ハアンと声を出して、ともちゃんなりの決意表明をしていました。

 休憩を挟んで、後半の部に入ります。後半は、司会の方が各座席にマイクを持って回り、新成人一人一人にインタビューをします。体力のないともちゃんは、一番最初にインタビューを受けて、そこで退席させてもらうことにしています。休憩中は、それまで張切って筋緊張が入ったために縮んだ腰をロビーの長椅子で伸ばしました。ですが、後半が始まると、強直間代発作が起ってしまいました。うれしくて興奮していたせいなので、これは仕方がないですね。

 ともちゃんは、インタビューで近況を尋ねて貰いました。お父さんは、受取ったマイクをしばらくともちゃんに向けていましたが、ともちゃんは緊張して黙っていました。それで、代わりに「H園でまいどレーヌ作っています。」と答えてくれました。ともちゃんは、さっき舞台の上で、しっかりとお話をしたものね。職員さんや先生に見送られて、車に乗込んで帰る途中、ともちゃんは悲しそうな顔をして、エーンと声を出していました。自分だけ、早く帰るのは嫌だったのでしょう。でも、家に着くなり、すぐに疲れて眠ってしまいました。

 ともちゃん、成人おめでとう。寒いのは苦手なのに、元気で成人式に出席できたこと、重ねておめでとう。準備も成人式の当日も楽しむことができてよかったね。楽しかったので、最後まで参加していたかった気持ちはよく分かるけれど、発作もあったし、家でぐっすり寝られて、ちょうど良かったと思います。目覚めてからは、とても満足そうでニコニコしていたしね。ともちゃんが、ここまで元気で育ってくれたこと、今までともちゃんに関わって下さった方々に、心から感謝しています。さあ、次は、H園の新成人を祝う会だね!

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2010年1月21日(木)

ともちゃんが楽しみにしていた成人式の第2弾、通園しているH園の新成人を祝う会当日の朝です。昨夜から雨模様のぐずついた天気ですが、春のように暖かいのがともちゃんにとってありがたいです。今回は、ともちゃんが興奮しすぎないように、家族はあまり早くから煽らないように注意していました。それでも、ともちゃんは一昨日てんかん発作を起こしたので、今日がH園の成人式であることは朝になってから知らされました。「ともちゃん、今日は2つ目の成人式やで!」と言われて、「ハハン」と笑顔で目を輝かせています。

 朝の支度を終えて、成人式用のドレスに着替えさせて貰うと、成人式の楽しいイメージが思い起こされて、気分がどんどん盛上がってきました。H園に到着すると、ともちゃんはもう嬉しくてたまりません。H園の今年の新成人は、ともちゃんを含めて4人。控え室になっているともちゃんの部屋に全員勢揃いです。カメラマン担当の職員さんがカメラを構えるのですが、他の人達はこれから発表する新成人の決意が気になって緊張気味。そんな中、ともちゃんは一人ではしゃいで笑っていました。

 みんなに見守られる中、新成人が入場してきました。他の新成人のお母さん方も全員参加していて、ビデオや写真を撮影して晴れ姿を記録していました。親の席も用意していただいているのですが、とてもじっと落着いて座っていることはできません。新成人として全員で前に出て紹介された後、ともちゃんは車椅子を降りて、職員さんに抱っこされて新成人の席に着きました。場内が暗くなって、新成人一人一人について、赤ちゃんの時から現在までのスライドで生立ちが紹介されます。

 赤ちゃんの時、就学前、小学部、中学部、高等部の5枚の写真は、おうちで選んだものです。お母さんは、選ぶ時にも既にじっくりと眺めたはずなのに、スクリーンに写されてナレーションが入ると、改めて感慨深く見入りました。最後の写真は、H園での活動の中から職員さんが選んで下さった、まいどレーヌのレモン摺りをしているともちゃんでした。社会人になったともちゃんには、H園の中にちゃんと居場所があって、これからもずっと職員さんやメンバーさんと楽しく活動しながら人生を歩んでいけることを思い、胸が熱くなりました。

 次に各々の新成人と関わりが深かった養護学校の先生方からのビデオメッセージが流れました。メッセージと共に、ともちゃんが好きだった朝の会の歌も歌って下さっていました。訪問で毎回歌って貰っていた歌なので、懐かしさに胸がいっぱいになりました。ともちゃんはずっとご機嫌でスライドやビデオを眺めていましたが、特に自分に宛てたものにはよく笑っていたそうです。ともちゃんも、懐かしい歌声を聞いて、学校時代を思い出していたのかもしれません。

 家族からのメッセージも読んで貰いました。そこに居るだけで癒しの力を持っているので、家族みんなが頼りにしているともちゃん。H園で楽しんで仕事をして、貰ったボーナスを使うことも楽しんでいるともちゃん。そんな、すっかり立派な大人になったともちゃんに、これからもますます人生を楽しんで欲しいという内容でした。園からの記念品を先輩のメンバーさん代表の方からいただきました。この2年間の園でのともちゃんの写真と、職員さんからのお祝いの言葉が載っているアルバムでした。本当に大切な成人の記念になります。

 さて、他の新成人さんが緊張していた誓いの言葉が順番に発表されました。ともちゃんもマイクを向けてもらいましたが、今回も緊張した面持ちで黙っていました。代わりに、職員さんに「体調を整えて、H園で楽しいことをたくさんしたいです。」と言ってもらいました。最後は職員さんのバンドのライブです。1曲目は会場みんなで賑やかに盛り上がり、2曲目はゆずの「贈る詩」を歌って頂きました。暖かく心に沁みる歌声でした。

 みんなからの祝福の紙吹雪のトンネルを通って、新成人は退場しました。自分のグループの部屋に戻ろうとしましたが、車椅子で退場したともちゃんの体と車椅子の中には、紙吹雪がいっぱい溜まっています。職員さんと看護師さん4人がかりで、きれいにして貰っていました。いつものように抱っこして貰って、ミルクの注入を始めたともちゃんは、満足そうにニコニコとご機嫌でした。ずっとずっと、中年になっても年をとっても、このまま長くH園での楽しい通園生活が続いていきますように。

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