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21日(日)
「クリスマスマーケット」
22日(金)
「お父さんから風邪もらい」
4日(水)
「城南宮」
ともちゃんは、iPhoneを買ってもらいました。お父さんからの4ヶ月遅れの誕生日プレゼントです。
コトの始りは、今年の夏の初めの頃のことです。お父さんが出張の夜、お母さんが後片付けをしている間、ともちゃんはお姉ちゃんと寝室に行きました。お姉ちゃんに抱っこしてもらって寝かせてもらいましたが、ともちゃんはなかなか眠りませんでした。そこで、お姉ちゃんは携帯電話でTVを見せてくれたり、それを見ながら一緒におしゃべりをしたりして、ともちゃんは少し楽しい夜更しをしました。
それがあって以来、ともちゃんはどうやら色々な機能の付いた携帯電話に興味を持ったようでした。誕生日にお父さんから「何買って欲しい?」と聞かれた時も、お姉ちゃんから「携帯やんな!」と言われて「オーン」と答えていました。でも、その時はそこから話は進まず、「どれにするか決めときや。」で終ってしまいました。
ところが最近、家族の間で「ともちゃんの携帯、どうなったん?」という話題が出ました。そのとたん、それまでは全く知らん顔をしていたともちゃんが「オーン」と積極的に話に絡んできました。「ほら、やっぱり携帯欲しいねんで。」、お姉ちゃんによると、以前にもこんなことがあったそうです。話しかけても全然反応がなかったのに、「携帯買って貰う?」と尋ねると「フン」と答えたと言うのです。
「みんな携帯持ってるしな。ともちゃんも欲しいと思うわ、なあ。」、「指でピューとする携帯(スマートフォン)やったら、ともちゃんも操作できるやん。」と、スマートフォンを買おうかということになりました。「それやったら、iPhoneにするか?」とお父さんが言うと、ともちゃんは「オーン」。「あんた、ホンマに流行もん好きやなあー。」、話はどんどん進んで、次の休みに近くのスーパーの店内にある携帯屋さんにiPhoneを買いに行くことになりました。
ともちゃん自身の名義で買うので、身分証明書としては障害者手帳を用意しました。自分でサインぐらいはできないといけないと、お母さんはともちゃんの手を持って、何度も名前を書く練習をしました。ともちゃんは真剣な顔をしてお母さんに手を預けていましたが、変に力が入ることもなく、誰からも判読できる文字でちゃんと名前が書けるようになりました。iPhoneを手にする時には同時にかわいいカバーも欲しいということで、ネットショッピングしました。ともちゃんが選んだピンクのキティちゃんのカバーは、ちょうどその休みの日に届きます。
ともちゃんは今日、朝食の後、張切って携帯電話を買いに行きました。カウンターの前に車椅子でデンと乗付けて、ともちゃんはもちろんお母さんもちょっと誇らしい気持ちで「この子がiPhone買います。身分証明書はこれです。」と言って障害者手帳を出しました。店員さんは両親を相手に事務的に手続きを進めていきます。ともちゃんは自分の出番を待っていましが、自筆の署名は特に必要ではないらしく、店員さんは住所氏名も淡々とお父さんに書かせていました。結局、ともちゃんの出番のないまま、手続きは完了しました。
たくさんの書類を書いていく途中で、お父さんも、お母さんも、ともちゃんに名前を書かせてあげようかと思いました。けれども、次々に説明される手続きを滞らせるのがはばかられて、言出せませんでした。せっかく張切ってスタンバイしていたともちゃんでしたが、手続きが長引いている間、暇そうに店内を見回しつつ、携帯を買いに来たんやという雰囲気は存分に感じて、「ヌハハー」とうれしそうに笑っていました。
先日のpHメーターの検査で胃食道逆流症であることが分ったともちゃんは、ガスター(胃酸を抑える薬)とガスモチン(胃腸の働きを活発にする薬)を飲むようになりました。とはいえ、今年はまだ冬ごもりにはならず、頑張っています。穏やかな小春日和の今日は、新梅田シティで行われているドイツ・クリスマスマーケットに行ってきました。最初は慣れない雰囲気に萎縮していたともちゃんですが、お父さんに抱っこされてミルクの注入をしている間に会場の雰囲気にも慣れて、笑顔でマーケットを楽しみました。
ともちゃんが気押されたのは、会場に行く前、隣接するホテルの正面玄関で車を降りた時からです。事前の問合せで、車はこのホテルの地下駐車場に止めるのが便利なことと、地下駐車場はバリアフリーではないのでともちゃんはホテルの玄関で先に車を降りた方がよいということが分っていました。そのつもりで玄関に車を止めたのですが、思いがけずドアマンに声をかけられたので、事情を説明するお父さんのみならず、慣れない状況に家族全員が緊張しました。
ともちゃんは圧倒されたままで車椅子に乗移り、その間、手伝うことはないかとドアマンが常にともちゃんの後に寄添っていたり、車椅子の横を駅からの送迎バスが通り過ぎたりと、ともちゃんにとっては警戒するような状況が続きました。それで、車を駐車場に入れるお父さんを残して、ホテルのビルに沿ってマーケット会場に向かう間に、ともちゃんは不安な外界を遮断するように自分の中に閉じこもってしまいました。マーケットに着いて声をかけても、悲しそうな表情のまま強ばっていました。
でも、抱っこの威力は絶大でした。お父さんと合流して、会場のベンチでミルクの注入をしようと抱っこしてもらうと、ともちゃんの表情がみるみる緩みました。閉ざしていた心を解放してキョロキョロと会場を見回し、時々ニャハハと笑っていました。ともちゃんがミルクを飲んでいる間、家族はドイツの白ソーセージやジャーマンポテトを買ってきて食べました。グリューワインというホットワインが名物なのですが、車なのでこれはなしです。今日は風もなく、日差しも暖かで、屋外での食事もいい気持ちでした。
一度夜のイルミネーションも見てみたい(ともちゃんにとっては、冬の夜のお出かけは論外ですが)世界最大級のクリスマスツリーの周りには、本場ドイツ各地でクリスマス前に広場に立つ市(マーケット)を摸して、クリスマスの飾付けがされた露店が並んでいます。ドイツのクリスマス菓子、グリューワイン、家族が食べていたドイツの食べ物の店に混じって、インド雑貨の店やマトリョーシカの店、北欧の妖精の人形の並ぶ店など、ドイツに限らず国際的なところが日本らしくて愉快です。
「ドイツには『サンタクロース』はいません。代わりに『ニコラウス』が良いことをした子供達にプレゼントを届けてくれます。」とお父さんに説明を読んで貰ったともちゃんは、アハハーンと嬉しそうに笑っていました。(成人になったので)去年からはサンタさんが来なくなったともちゃんなので、それならニコラウスさんに来てもらおうと思ったのかも知れません。マーケットにはニコラウスさんが来る日もあって、ちゃんと専用の座席が設えてあります。その隣には、本場のクリスマスには欠かせないキリスト誕生の場面を人形で再現した家がありました。
クリスマスオーナメントがたくさん吊下げられた露店は、キラキラして一段ときれいです。眺めているだけでも華やかな気分になって楽しいのですが、ともちゃんは、ベルの形のオーナメントの音色が気に入って、買って貰いました。お家のツリーに飾りましょう。お母さんとお姉ちゃんは、ドイツのケーキ、シュトレーンを買いました。一軒一軒お店を覗いて、最後はアンティークの趣のあるメリーゴーランドのところまで来ました。今回は乗らずに、前で写真を撮りました。
帰りには、車を止めたホテルに寄って、ロビーラウンジでお茶を飲みました。ホテルで飲食をすると駐車場代が無料になるということが大きな理由ですが、優雅な気分になれるのも素敵です。来た時には萎縮していたともちゃんですが、もう雰囲気には飲まれません。笑顔でロビーを横切り、「ヌハハハハ!」と豪快に笑って、席に着きました。係の方は親切で、シリンジや哺乳びんなどのともちゃんの食事セットで狭くなったテーブルに、もう一つテーブルを繋げて下さいました。ともちゃんはココアを少し飲みましたが、本格的なココアはちょっと苦くて大人の味でした。
大人になったので、去年からともちゃんのところへはサンタさんはやって来なくなりました。サンタさんを待っているだけがクリスマスじゃないよ、大人はクリスマスパーティで盛上がるよと、ともちゃんはH園と家族、2つのクリスマスパーティを楽しみました。
まずは恒例の園のクリスマス会です。そろそろ冬ごもりの季節に入り、ともちゃんは園を休みがちになっていました。その上、当日は寒い日でしたが、赤色のヒートテックの上に小花柄のワンピース、その上に白いモコモコのカーディガンというクリスマスらしいおしゃれをして参加することができました。会では、ともちゃんのグループはハンドベルで「もろびとこぞりて」を演奏しました。ともちゃんは、この曲はぶっつけ本番だったということですが、しっかりとベルを持って落着いて鳴らしていたそうです。
ハンドベルは、この秋からともちゃんのグループの活動としてやっていたものです。連絡帳には、「ドの音を担当して、キラキラ星を演奏した。」とか、「『次鳴らすよー。』と言って一緒に鳴らすと、ニコっとした。」とか、「最初は自分の鳴らした音にびっくりしていたのに、最後は他人の音を聞いても平気になって笑っていた。」とか書かれていて、お母さんは毎回楽しく読んでいました。家に帰って、家族がともちゃんに「クリスマス会行けて良かったなあ。ハンドベル演奏したん?」と話しかけると、やり遂げたという誇らしげな顔で「ホン!」と答えていました。
家庭でのクリスマスパーティは、ともちゃんが企画して行いました。お姉ちゃんとお母さんが「ともちゃん、クリスマスパーティ、どんな風にしようか?」と話を持ちかけると、ともちゃんが声を出して乗ってきたからです。「ケーキは作る?」、「おん!!」。「そやなー。最近、ともちゃんケーキ作っていないもんなあ。」、「おーん!」ということで、企画その1は「ケーキはアレルギー対応食品の店でスポンジを買って、デコレーションする。」ということになりました。
「家族でプレゼント交換はするやろ。他に何する?」。「ともちゃん、今(iPhoneのアプリの)太鼓の達人好きやから、それする?」、「アハハハン」。「そうなんやー。太鼓の達人しよ、しよ。太鼓の達人やって、勝った人(得点の高かった人)から順にプレゼントを選べるのにしよか?」。「ウーン!」、力強く許可が出て、企画その2は「プレゼント交換をして、太鼓の達人の得点の高かった人から順番にプレゼントを選ぶ。そのためのプレゼント(家族の誰が貰ってもよいもの、みんなで分け合えるものをセットにしても良い)を各自用意する。」に決ったのでした。
クリスマスパーティは準備期間から楽しみましょう。ともちゃんはお母さんとプレゼントとして何を買うかを相談しました。「色んな飲み物セットはどうやろ?」、「ハーン!」。お母さんが買い物に行った時にいくつか飲み物を買ってきて、その中からともちゃんが選ぶということになっていましたが、本当はともちゃんが自分で買い物に行きたいのです。暖かな日、ともちゃんはヘルパーさんと近くのコンビニにプレゼントを買いに行きました。店内をキョロキョロと見回し、満面の笑顔を見せたともちゃんは、迷いながらたくさんの買い物をしました。
そして迎えたおうちでのクリスマスパーティ。ともちゃんは、イチゴとマロンのケーキをデコレーションして、切り分けて貰った自分の分をミキサーでペーストにして、久しぶりに味わいました。「太鼓の達人」大会は、ともちゃんはいつもやっている「レベル普通のアンパンマンマーチ」をお姉ちゃんの助けを借りてプレイしました。他の人はハンデということで、「レベル鬼」の知らない曲をランダムでくじ引きでプレイしました。家族はリズムも何も分らない曲なので、表示を見ながら連打するいう状態でしたが、それぞれ真剣に健闘して盛上りました。
「太鼓の達人」大会1位だったともちゃんが選んだプレゼントは、お父さんが買ってきた一番大きな包みでした。中からは声を上げて笑い転げるキティちゃんのぬいぐるみが出てきました。ご機嫌で笑っていたともちゃんは、キティちゃんと一緒にキャハハハハ。プレゼントは複数用意している人もいて、ご飯茶碗やら、iPod用のスピーカーやら、招き猫やら、モコモコの靴下やら、低反発クッションやら一杯あって、家族がそれぞれふさわしいものを2個ずつ貰えました。ともちゃんの飲み物セットはお父さんが選んで、みんなで分けて飲みました。
年末年始のお休み、どこにも行かず、誰も訪ねて来ないともちゃんは、例年通り気ままに、まったり過ごしました。寝たい時に昼寝をして、食べたくなければ食事を残して、家族でゲーム三昧をしたり、少し夜更かしして紅白歌合戦を見たり、ネットショップのセールでTシャツを買ったり・・・特筆すべきこととして、今年はWiiを買いました。今まではよくボードゲームを買って、ともちゃんもサイコロを持たせて貰って家族で遊びましたが、今度は自分用のピンク色のコントローラを腕に着けて、Wiiパーティで大いに盛上りました。
Wiiが届けられた日、夕方から早速、お姉ちゃんとお母さんと一緒に、ゲーム内で動く自分の分身(Mii)を作りました。目や鼻、個々のパーツをワイワイ選びながら、家族全員分の分身を作った頃にお父さんが帰宅して、寝る前に少しだけゲームもしました。この日は、寝室に行く時間も遅くなったのに、ともちゃんは突然夜中に目を覚まして、しばらくの間、楽しそうに「ゲヘヘヘ、ゲヘヘヘ」と大きな声で笑っていました。ともちゃんもゲームが楽しかったのでしょう。でも、抱っこしていたお父さんに「ゲームして興奮して寝ん子はダメだあ!」と怒られていました。
翌日からはゲーム三昧でした。夜中のことがあったので、お父さんから「ゲームの時間を制限します。」という小学生のようなことを言われたともちゃんですが、「しょっちゅう(ゲームを)やってた方が、興奮せえへんやんなあ。」と、お姉ちゃんから助け船を出して貰いました。家族の全員が、リビングのともちゃんの回りに集まって来るだけでも、ともちゃんは気分が高まります。その上、テレビ画面の中で家族それぞれのMiiがゲームの状況に応じて表情豊かに動くので、自然と家族もゲームの世界にいるような勢いで楽しんでしまいます。その雰囲気が、なお楽しいようです。
とはいえ、1つのゲームをプレイするのには30分から1時間以上もかかるので、その間中ともちゃんの意識がずっとゲームをしている家族と一緒にあるかというと、そうではありません。疲れて乗り気がしない時は「ゲームの方はお任せします。」と、さっさとぼんやりモードに入ってしまいます。そして、元気を回復すると、目を輝かせて「ニャヒヒ」とまた家族の歓声の中に戻ってきます。ともちゃんはリモコンを腕に着けて、お母さんに抱っこされて参加しているので、ともちゃんの気分次第なのです。
次のともちゃんの番で「上がり」になるはずだったところを、お母さんに先を越されて「ほらー、ともちゃんが怒ってるやん!」ということもありましたが、ともちゃんは勝敗には大らかです。お父さんの起こした火山の噴火で吹き飛ばされても、お母さんの操作するターザンロープでマイナス方向にジャンプしてしまっても「ニャハハハハ」、家族と一緒に大笑いです。それでも今日の最後のゲームでは圧勝、強運のともちゃんでした。家族と楽しく過ごしたお正月も終り、明日からは普通の生活です。今年も楽しいことがたくさんありますように。
今年最初のデイセンターからの訪問では、恒例となった書初めをしました。今年書いた文字は「卯」、「紬」、「輪」、「挑」、「旅」です。今までは墨汁を使っていましたが、今年はお母さんに墨を擦って貰って、墨の香りを感じながら書きました。この5文字は、ともちゃんのH園での今年の抱負を表しています。「卯」年の今年も、「紬」Beグループの仲間の「輪」の中で、色々なことに「挑」んで行きたいです。昨年同様、日帰り「旅」行にも行きたいです・・・
このまま順調に毎週、通園もしくはデイセンターからの訪問を受けられると思っていたら、園でインフルエンザが流行りました。ともちゃんが属しているのとは別のグループが、インフルエンザの流行で閉鎖になりました。罹ったら重篤になる危険性がある上に、卵アレルギーがあって予防接種が受けられないともちゃんなので、インフルが流行っている間は自衛が第一といういことで、通園はもちろん訪問もお休みにしました。
インフルの影響はデイセンターだけに止まりませんでした。ホームヘルプをお願いしている支援センターでも職員さんの中に患者が出たので、自主的にホームヘルプをお休みしました。また今年から、訪問看護ステーションの看護師さんが週1回訪問して下さることになったのですが、こちらもインフルでお休みでした。ともちゃんの住む地域でのインフルの流行のために、誰もやって来なかったお正月休み生活に逆戻りしてしまいました。
それでなくても冬ごもりモードでよく昼寝をするのに、ともちゃんは気ままに過ごし、お母さんも時間を気にせずダラダラとともちゃんの予定を消化していたので、寝室に行く時間が遅くなっています。けれど、そのお陰で、ともちゃんは夜の家族団らんの楽しさを知りました。今までは7時台には寝室に行っていたともちゃんですが、今は会社や学校から帰ったお父さんやお姉ちゃんと、テレビのバラエティ番組を一緒に見たりしています。
ともちゃんが一番嬉しいのは、お母さんが「今日は1日おうちでつまらなかったから。」と夜のミルクの注入をしながらWiiをやってくれる時です。昼間、お母さんとやるのではなくて、夜やるのがいいのです。ともちゃんは、Wiiの中に設定されている相手とゲームをします。その中で、ゲーム全体の勝敗に大きく影響する順番決めのミニゲームをするのですが、その時にお姉ちゃんやお父さんが手助けをしてくれるのが嬉しいのです。
家族で何度かWiiをやっているうちに、何種類もあるミニゲームの中で家族それぞれの得意不得意が分かってきました。順番決めのミニゲームはランダムで現れるのですが、ミニゲームを見て「これはお父ちゃんが得意やから、やってあげよ。」とか、「お姉といっしょにやろか。」とか構ってくれて、寄ってきてくれたみんなでキャッキャというのが楽しいのです。それで、この頃は、ともちゃんが一番元気な時間帯は夜ということもよくあります。
大人になったので、9時に寝て5時に起きて少し昼寝もして、日々元気に健康に過ごせるのなら、寝室に無理に7時台に行かなくても、就寝時間が9時でもいいかなあとお母さんは思っています。ところが、寝室に行ってから、問題があるのです。寝室で寝る体勢で抱っこをしていると、筋緊張が強くなったり、うっと胃からの逆流があったり、咳込んだり、痰が湧いたり、吸引が必要になったりして、ウトウトしかけてもすんなりとは眠れないのです。
しばらくの咳込みやら、吸引やらを経て、疲れて眠ることもあるのですが、逆にそれで目が覚めてしまって、12時頃まで起きていることもあります。そのせいで、午前中は朝寝坊だったり、元気がなかったりで、昼寝をして夕方から夜になる頃、覚醒して元気になるという悪循環です。リビングより、寝室で抱っこする方が筋緊張が強くなり、胃からの逆流が生じやすく、痰が絡みやすいのはなぜだろうと、抱き方や部屋の暗さなど色々試しているのですが、はっきりとした解決策は未だ見つかっていません。
今まで、ともちゃんは午前中が一番元気でしっかりと学校やデイセンターで活動して、だんだんと夕方に向かって興奮を静めていって、7時台に寝室に行って8時には寝ているというのが日課でした。今のような生活で、定期的に通園を楽しめるだろうかとお母さんは心配をしています。春、冬ごもりが終わる頃には、通園を楽しむためにも、生活のリズムを整えていかなければと思っています。
さて、3月に入ってから、ともちゃんの体調は思わしくありません。夜、寝室に行って寝ようとすると、筋緊張が強く入る、胃からの逆流が上がる、むせて咳込む、ゼロゼロと痰が湧くというようなことが次々に起こり、眠くてもぐっすりと寝られません。ともちゃんが、今までずっと付合ってきている身体的な困りごとが色々重なって、しんどくなっているのです。
夜眠れない分、昼間はよく眠くなります。不思議なことに、昼寝の時には、夜に起こるしんどい症状は出てきません。夜の辛さを根本的に解決することにはなりませんが、とりあえず寝不足は解消できるように、体力を回復できるようにと昼間も睡眠優先です。ともちゃんが眠い時には寝てもらい、その合間にミルクの注入や口からの食事など、生活に必要なことをしています。
2月の頃のともちゃんは、冬ごもりしながらも生活のリズムは比較的安定していて、2週間に1度は通園できました。1月から来ていただいている新しいヘルパーさんや訪問看護の看護師さんの訪問も定期的に受けて、ともちゃんの状態を理解して下さる方達を増やそうとしていました。3月に入ってからは、昼間もこのような状態なので、通園はおろかホームヘルプや訪問看護を受ける余裕もない状態(体力的にも時間的にも)で過ごしています。
以前にも、心配になるくらいよく昼寝をしていた冬や、春先にてんかん発作が増えたりしたこともありました。でも、そんな時でも暖かくなるとともに気にならなくなり、ともちゃんは例年通りの活動的な季節を迎えることができました。楽天的な見方をすれば、今回のこともちょっとしたきっかけで夜に普通に眠れるようになるかもしれません。
けれど、その一方で、根本的な治療が必要になるかもしれない、新しい問題が隠れているかもしれないということも覚悟しなければなりません。今は全くの冬ごもり状態ですが、無理はせず注意深く見守りながら、解決の糸口を探していきたいです。春はもうすぐそこまで来ています。早く夜が楽になって、ぐっすり眠って昼間は楽しく活動できるようになりたいものです。
一方で、重い障害や重い障害が基になって成長と共に生じた2次障害と、ともちゃんは毎日うまく付合っていかなければなりません。重い障害を持つために体力がなく、時として健常者以上の厳しい病気との戦いを強いられることもあります。酸素濃縮機、吸引器、パルスオキシメータに守られ、経管栄養は頼みの綱です。寒いと活動性が低下するし、感染症にも弱いので、毎年冬の間は無理をせず、家の中で冬ごもりをしています。
今年は3月に入っても寒い日が続き、ともちゃんはなかなか冬ごもりから目覚める気配がありませんでした。そこへ来て、最近は寝室に行くとオエッオエッと胃から込み上げてくる、痰が絡む、咳込む、激しい筋緊張が起こるという辛いことが次々に起って、ぐっすりと眠れない日が何日もありました。痰を吸引しようとしたら、吐いてしまうということもあります。そのうちに治るかと期待しましたがその気配はなく、積極的な対策を講じることにしました。
因果関係を観察してみると、どうやら逆流があって、気持ち悪いので筋緊張が高まるのではなく、筋緊張が強いために、腹圧が高まって胃からの逆流が起こり、その刺激で咳込んだりゼロゼロと痰が湧いたりするようでした。最近は、昼間よく眠っているために予定が遅くにずれ込んできていて、寝室に行く直前まで夜のミルクの注入をしていました。まずはこれを改善。時間が無ければ、口から食べるお粥を途中で止めて注入を早く終え、リビングでしばらく過ごしてから、寝室に行くことにしました。
これと、寝室でもリビングでするような抱き方を心がけることで、筋緊張があっても胃からの逆流は軽減された感じです。ゼロゼロして吸引しても、それが嘔吐につながることも少なくなりました。異常に強い筋緊張の方は、これでは解決できなかったのですが、意外なことから解決しました。
リビングではそんなことはないのに、寝室を暗くして眠くなると、全身をねじらせてカチカチに突張ります。膝を屈曲させて力を抜こうとするのですが、とても困難でした。ある時、寝室の電灯をリビングのように明るくしてみました。すると、ともちゃんの目付きが変なことに気着きました。目を見開いて、ずっと黒目が目玉の上側にあって、呼びかけても戻ってきません。以前、大きなてんかん発作が起った後、この様な状態が長く続き、ダイアップ(抗てんかん頓服薬)を使ったのを思い出しました。
今回もダイアップを使いました。その夜は、しばらくすると目付きも普通に戻り、筋緊張も取れて、ともちゃんはぐっすりと眠りました。そして、それをきっかけにして、それ以降は夜眠る時の異常な筋緊張は起らなくなりました。通院した時に先生に話すと「てんかんの発作かもしれないし、赤ちゃんが眠いのに神経が興奮して寝られないような、寝ぐずりだったかもしれない。」とのこと。「今度このようなことがあれば、目玉の動きを動画に撮って見せてもらえば、てんかん発作かどうかの判断はつきます。」とのことでした。今回の筋緊張が、てんかん発作でも、寝ぐずりだったにしても、ダイアップは有効だったそうです。
思えば、土曜の夜から、妙に鼻水やくしゃみが多くなっていました。お母さんとお姉ちゃんは「花粉症? 違うよなあ。」、「たまに、寝る前にアレルギー的な感じで、鼻がぐずぐずすることがあるねん。」と言いながら、しつこい鼻水を何度も吸引していました。日曜日の午後、昼寝をした後なのに元気がありません。パルスオキシメータが示す心拍数が毎分130台と高めです。抱っこすると体が熱く感じられて、体温を計ると38.5℃でした。
お父さんの風邪がうつってしまったと、お母さんは残念に思いました。2日前、お父さんは熱が出て、近所のお医者さんを受診しました。お父さんの熱は(インフルエンザではない)ただの風邪で、一晩で下がったのですが、発熱以来お父さんはマスクを着け、直接ともちゃんに触れることは控えて感染には気をつけていたつもりでした。けれども、お父さんが発熱する前には、鼻がぐずぐずすると言いながら普通にともちゃんを抱っこしていました。
日曜日なので、地域の休日診療所に行きます。ともちゃんも一応インフルエンザでないことを確認し、抗生剤をもらって帰りました。しばらくは栄養と水分の摂取は経管だけに頼って、寝たいだけ寝て治すことに専念しましょう。この日、熱は最高39.2℃まで上がり、解熱剤を使って眠りました。翌月曜日は、昼寝の合間に小児科医院を受診して、追加の抗生剤をもらいました。前回の検査は発熱してからの時間が短かかったので、再度インフルの検査もしました。
幸いこじらせることもなく、水曜日の朝を最後にともちゃんは平熱に戻りました。熱が出たのは、日、月、火、水の4日間でした。熱が下がっても、ともちゃんはすぐには活動を再開しません。週末まではゆっくりと身体を休め、体力の回復に努めます。お父さんが持込んだ風邪は思いのほか強力で、家庭内で猛威をふるいました。ともちゃんだけでなく、お姉ちゃん、お母さんも、次々に巻込まれました。
「今回の風邪は、鼻水、熱ときて、最後にまた鼻水と痰で終るわ。」、先陣を切ったお父さんの言葉通り、熱の後またともちゃんは頻繁に湧く痰に悩まされ、吸引の世話になっています。翌週の4月18日(月)からは、ともちゃんは吸引をしながら家でマイペースで過ごしていますが、訪問看護の看護師さん、歯科衛生士さん、デイセンターの職員さん、ヘルパーさんと、なんとか順調に訪問を受けて、徐々に普通の生活に戻りました。長かったこの冬籠りも、ようやく終りそうです。
車の中からともちゃんは張切っていて、行きも帰りも昼寝をしません。ショッピングセンターに入ると大喜びでした。いつもの様にフードコートでミルクの注入を済ませてから、お買い回りします。でも、ここで困ったことがあります。長い冬籠りで久しく車椅子に乗っていなかったので、先週の通院では駐車場から小児科に行くまでの間を車椅子で移動しただけで、筋緊張が非常に強くなって側湾の腰が痛くなってしまいました。お母さんの車椅子への座らせ方も下手だったのかもしれませんが、短時間で段取り良く回ることにします。
お父さんの抱っこから車椅子に乗換えて少し動いてみましたが、大丈夫そうです。急いで1階に下りて、ともちゃんの目的のお店に向いました。お姉ちゃんとは、事前に「今度はバッグを買おか。」という話をしていました。可愛いくて手頃なバッグが色々あるのですが、どれを見せられてもともちゃんは浮かない顔をしています。「ともちゃん、『バッグ』って何か違うもの想像してたんかなあ。」。
洋服がたくさん吊されているのを見ると、キョロキョロと嬉しそうです。その中に、小花柄プリントのブラウスを見つけました。ともちゃんに当ててみると、よく似合ってお澄まししています。「どの色合いがいいかなあ?」とよく見ると、その中に一見小花柄と見せて、実は猿などの動物柄プリントというブラウスがありました。面白いので、これに決定しました。ともちゃんは、レジに持って行ってお金を払う時も笑顔を見せて、商品を入れた袋を持ってずっと嬉しそうにしていました。
気分が乗っているともちゃんは、ご機嫌でお姉ちゃんにプレゼントの赤いケトルを買ってあげました。この後は、張切りすぎて筋緊張が入ってきたので、ベンチで抱っこしてもらって少し休憩。力が抜けたら、気になるお店を覗きながら駐車場に向います。途中、ともちゃんはキティちゃんのくじも引きました。お父さんが「(1等賞の)電波時計を当てるぞ!」とともちゃんの手を取って選びました。結果は残念。キティちゃんの傷テープでした。帰りの車の中で、ともちゃんは目を輝かせて、次はどこに行こうかという話に寄っていました。
ともちゃんは、まず本殿に向って手を合せました。今年も無事にお出かけシーズンが始まったことを感謝し、これからもずっと元気に過ごせることをお祈りします。段差があって鈴の下までは行けなかったので、他の人が鳴らした鈴の音に便乗させてもらいました。お賽銭は、ともちゃんの手から離れた後、お父さんがビューンと賽銭箱まで運んでくれました。
神苑に入るといきなりの上り坂で、ともちゃんは大喜びでした。新緑の木陰の土の道は起伏に富んでいて、心地よい風を感じたり、鳥の声を聞きながらの散歩です。ともちゃんは、好奇心あふれる目でキョロキョロしたり、ニコニコ笑顔を見せたりとずっと楽しそうでした。お母さんやお父さんは、ともちゃんは買い物だけではなくて、自然の中の散歩も好きだったということを思い出していました。
神苑では、赤、白、ピンクのサツキやツツジが満開です。この春は肌寒い日が続いていたせいでしょうか、椿や下がり梅の花もまだ残っていました。藤は少し咲きかけたところ、アヤメはまだ数本咲いているだけでした。車椅子で行くことはできましたが、坂道だけではなく敷石の間に車椅子の小さい前輪が挟まったり、ちょっとした階段があったり、砂利道だったりと笑顔のともちゃんの陰には、車椅子を押すお父さんの苦労がありました。
車椅子に乗ると筋緊張が強くなって姿勢が崩れ、側湾の腰が痛くなることを心配していましたが、散歩中に車椅子に座り直して姿勢を立て直すということを2度行って、車椅子から降りることなく切抜けることができました。途中、チルト(リクライニングではなく、座面と背もたれの角度を固定したままで傾ける)を最大限にして散歩したことも、体重を背中やお尻全面で受け止められたので、良かったようです。
ただ、チルトを傾けると車椅子を押すハンドルの位置が低くなるし、重心が後方になって車椅子ごと後ろ向きに倒れそうになるので、お父さんには一層大変でした。一昨日は、久しぶりのお出かけに興奮してずっとはしゃいでいたともちゃんですが、今日は散歩の間は目いっぱい楽しみ、車の中やミルクの注入のために立寄ったファミリーレストランではうまく眠って、体力を調整していました。