ともちゃん の日常43


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2010年7月18日以前(ともちゃんの日常42へ)

2010年7月

25日(日)
「おめでとう21歳」

2010年8月

9日(月)
「なばなの里」

11日(水)
「夏祭でヨーヨー釣り」

15日(日)
「ショッピングセンターの本屋さん」

28日(土)
「同窓会」

2010年9月

22日(水)
「第2H園」

27日(月)
「東映太秦映画村」

2010年10月

10日(日)
「トナカイ柄のベスト」

23日(土)
「pHメーター」

2010年11月

3日(水)
「H園フェスタ」

2010年11月13日以降(ともちゃんの日常44へ)


2010年7月25日(日)

数日前、「ともちゃん、もうすぐ誕生日やなあ。今まではハタチって言うてきたやろ。誕生日になったら今度は『21歳』になるねんで。」。お姉ちゃんと話をしていたともちゃんは浮かない顔をしています。「ともちゃん、ちょっと怒ったはる。」、「二十歳になった時は、パーティー(成人式)が2つもあって、みんなに大人になったって言われて喜んだはったし、二十歳でなくなるのが嫌なんと違うか?」、「ともちゃん、大丈夫や。21歳になっても大人のままやし、ええことも一杯あるで。」。

 当日の朝ともちゃんが起きてくると、いつもの居場所の枕元には今年もプレゼントがたくさん置かれていました。なんだか、まるで、サンタさんからのクリスマスプレゼントみたいです。「今日は、ともちゃんの誕生日やから、プレゼントが一杯もらえるねんで。誕生日おめでとう!」。たくさんの包みに囲まれて、ともちゃんはうれしそうにニコニコしています。「な! 21歳になっても、良いことがあるやろ!」。

 「今年のプレゼントは何かな?」、 開けてみました。お姉ちゃんからの包みの中には、これから涼しくなったらパジャマの上に着るモコモコのパーカーと、金色のステッチがおしゃれなデニムのスパッツ。お母さんからの包みの中には、ピンクの猫のTシャツと、ピンクの細かいストライプのズボン、それにパジャマと実用的なタンクトップと、とにかくたくさん。えっお父さんからのプレゼントの包みがないよ。でも大丈夫。

 お父さんからのプレゼントは物ではありません。ともちゃんが欲しい物ができた時にいつでも買って貰える権利(期限なし)です。もう長い間、お父さんからのプレゼントは毎年これで、お父さんは当時のCMを摸して「永久不滅ポイント」と呼んでいるともちゃんにはお馴染みのものです。プレゼントを見せて貰って、ともちゃんの「ちょっとした誤解」はすっかり解けていました。

 呼吸をするとか、ご飯を食べるとか、健常者なら何気ないような命を維持する行為に労力が要り、頑張っているともちゃんなので、今年も元気に誕生日を迎えられたことを家族はうれしく思っています。それで、お誕生日は本当にめでたくて、毎年お祝いをして、喜びを噛みしめていきたいのです。

 お誕生日会は、今年は牛乳プリンにローソクを灯して行いました。21本のローソクを立てるのは無理なので、色の異なる5本を立てて、火を灯しました。お父さんに抱っこされたともちゃんはローソクの明りを不思議そうに眺めていましたが、吹き消すことはできないので、お父さんに消して貰いました。その後、家族みんなで、ともちゃんの好きな牛乳プリンにバナナと缶詰の桃を添えて頂きました。ともちゃんには、バナナと桃を一緒にミキサーにかけてペースト状にしてあります。

 家族が美味しく頂く中、ペーストを口に入れて貰ったともちゃんは顔をしかめています。「ともちゃん、どうしたん?」、「ちょっと酸っぱい? ともちゃんって、ちょっとでも酸味があると、食べ始めの時に酸っぱい顔をする時があるわ。」。「えー、こんな甘いのに。」、「でも、ちょっと酸っぱいだけやったら、もうそろそろ慣れて食べ出す頃やけどなあ。」。「ひょっとしたら、虫歯に浸みるのかもな。」、嫌な顔をして食べないともちゃんを巡って、家族は心配してあれこれ詮索していました。

 果たして、ともちゃんのしかめっ面の原因は眠たかったのでした。抱っこされたまましばらくウトウト眠って、起きて来てからは美味しそうに食べていました。朝から賑やかだったので、ともちゃんはちょっと疲れたのでしょう。そう言えば、ともちゃんは眠い時は、お粥ペーストも顔をしかめて嫌そうにして食べませんもんね。眠い時は無理をせず昼寝して、これからも人生ボチボチゆっくり歩みましょう。楽しいことは一杯あります。

 21歳、心からおめでとう。

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2010年8月9日(月)

今年の夏は異常に暑い。梅雨にはたくさん雨が降ったのですが、梅雨が終った途端、一挙に猛暑日になって、連日の厳しい暑さが続いています。ともちゃんは、家でも園でもエアコンで快適な室温に設定された中で過ごしていますが、それでも疲れるのか、よく昼寝をしています。エアコンの影響なのか、急にセキ込むことが多くなっていますが、元気にしています。

 急に暑くなったことで、今年は暦の感覚がありません。例年なら、カレンダーを眺めながら楽しみに待っているお父さんの夏休みですが、今年は、気が付けば、いつの間にかお盆間近になっていました。土日から引続いて、今日からお父さんは夏休みです。となれば、さっそくのお出かけ。昨日、旅行から帰ったばかりのお姉ちゃんは家で留守番にして、ともちゃんは両親と「なばなの里」に出かけました。

 「なばなの里」は三重県の長島にある花がテーマの施設です。昨年、新名神高速道路を通って名古屋までドライブした折に、次の行先として候補にしていました。1年ぶりの遠出に、ともちゃんはうれしそうです。これから名神、新名神を経て東名阪沿いの長島までドライブします。名神の京都東付近で少し混雑しましたが、新名神に入ってからは「新名神はやっぱり走りやすくてええわ。」、「(以前行った時の)甲南SAには忍者がいたな。」、「この辺、(道の駅)あいの土山やなあ。」と楽しく快適に走っていました。

 フロントガラスに、少し細かい雨粒が着き出したなと思っていると、鈴鹿トンネルを抜けた途端、いきなり土砂降りの雨が降ってきました。そういえば、出かける時、最近にしては珍しく曇っていたのですが、ここしばらくの快晴続きで雨が降ることは全く考えていませんでした。ともちゃんの両親は慌てました。「車椅子の雨カバー持ってきてないよなぁ。」。子供の頃は、雨が降っても車椅子の上から透明なビニールカバーですっぽり覆って、どこでもスタスタ行ったものです。最近では雨カバーの出番はほとんど無くなっていました。

 「なばなの里に着いても、雨が降ってたら、どうしよ?」、「車の中でミルクの注入だけして、引き返す?」、「こんな土砂降りやったら、駐車場から建物のある場所へも行けへんな。」。弱気な発言をしている中、雨脚はどんどん強くなって、周りは煙って前方を行く車両すら全く見えなくなりました。「ゆっくりと、安全運転で行こな。」。現地での心配どころではありません。しかし、東名阪道を行くうちに、徐々に雨脚は弱まり、シトシト降りになりました。

 地道に降りると、時折現れる「なばなの里」の看板が現地まで誘導してくれました。駐車場に着くと、いつの間にか雨はすっかり止んでいました。高等部の頃、ともちゃんが行事に参加すると晴れると言われましたが、今回もともちゃんの執念でしょうか。入口を入って、ピンク色の花ばかりで作った花壇を見て、ともちゃんはにっこりうれしそう。また雨が降り出さないうちに、順路案内に従って、園内を散策しました。

 池やテーマごとの花壇が整備された庭園に、各種レストランやお土産屋さんが点在しています。ともちゃんは乗っていませんが、園内を眺望できるアトラクションもありました。ともちゃんは興味深げに、キョロキョロとよく首を動かして、周りを見ては楽しそうに笑っていました。特に、ともちゃんの立止まったすぐ隣の木でセミが鳴き出した時は、ともちゃんも笑い出して、不思議そうに音源を探していました。

 ミルクの注入のためにレストランに入ると、案内されたテーブルの前でともちゃんは大きく天井や周りを見回して、ニャハハハハ。「(いつものフードコートも気楽で良いけど、)ここ、上品な感じがなかなか気に入ったわ。」と、外の緑の見える席で、ともちゃんはお父さんに抱っこされて、ミルクを飲みました。食事をしていると、再び雨が降り出してきました。先に食べ終えたお母さんは、レストランの方に尋ねて一走り、ビニール傘を買ってきました。

 お土産が買えなかったことは心残りですが、傘を差掛けるだけで、雨をしのげるうちに、駐車場まで戻りましょう。園内を散策する間、うまく雨が上がっていて、逆に太陽の照りつけもなく快適に過ごせて、幸いでした。お父さんが早足で車椅子を押し、荷物を持って横を伴走するお母さんが差掛けるビニール傘の中で、ともちゃんはキャハキャハ笑っていました。

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2010年8月11日(水)

今日はH園の夏祭です。お父さんが夏休みに入っているので、お父さんに車で園まで送って貰いました。お父さんが車椅子を降している時、お母さんに抱っこされたともちゃんは、てんかん発作を起こしてしまいました。それで、職員さんが迎えに来て下さった時には、顔を強ばらせて表情がありませんでした。お母さんは心配しながら、ともちゃんの後について園に入って行きましたが、部屋に入って職員さんに話しかけられると「ニャハハハ!」と笑顔が出て、いつものともちゃんに戻りました。

 バイタルチェックの間も、会場のホールから伝ってくるざわめきに、気もそぞろだったともちゃん。夏祭のチケットを貰って、ホールに出てきました。賑やかな雰囲気を感じながら、看護師さんにチケットの内容を読上げて貰って、ニコニコしています。チケットは4枚綴りで、それぞれグループで出している食べ物やアトラクションのお店の名前が書かれています。さて、どこから回りましょうか。

 最初は「ヨーヨー釣り」。車椅子の人でも、無理のない姿勢で水の中に浮かべられたヨーヨーに届くように、長い竿が用意されていました。ともちゃんは、上手に竿を持たせて貰い、うれしそう。「ともちゃん、何色のヨーヨーがいい? ピンクがいい? 赤色にする?」。紐の先に付いている針に、ヨーヨーをかけてあげようと職員さんが尋ねてくださったのですが、針を見てみんなびっくりしました。何気なく水の中に浸けた針に、ちゃんと透明にブルーの渦巻き模様のヨーヨーが引っかかっているではありませんか。「ともちゃん、スゴーい!! 自分で釣ったやん!!」釣上げて貰って、ともちゃんもびっくり。ヨーヨーを外して貰うと自慢げでした。

 次は「おいしいもの屋さん」。イベントで、みんなが好きな食べ物を出していても、たくさんの食物アレルギーがあるともちゃんは、大体いつも食べられません。今回も、お母さんにあげるつもりで覗いてみました。お店の前にはバナナの装飾がありますよ。おいしいものは何でしょう? 「バナナは食べられるんやけれど・・・」、すると出てきたのはバナナムース。使用した食材を尋ねてみたら、バナナと生クリームとレモンということで、ともちゃんも食べられます。園では、この後ミルクの注入をするので、家に持って帰って食べましょう。

 そして「金魚すくい」。ここは、ともちゃんのグループが出しているお店です。金魚すくいと言っても、普通の金魚すくいとは違います。スポーツ大会でも登場した作り物の金魚をぴったり100gだと思うまで、すくって容器に入れるというもの。秤に乗せてみて100gぴったりなら、ピタリ賞で景品が3個。後は、おしかったで賞と残念賞で、それぞれ2個と1個の賞品が貰えます。ともちゃんは、自分がすくう前にお店番も経験しました。お店番をしている間に疲れてきて、抱っこしてもらってのチャレンジです。職員さんと看護師さんの助言と、ちょっとオマケもあって、おしかったで賞と健闘しました。お姉ちゃんへのお土産にうまい棒を2本貰いました。

 最後は「かき氷」。冷たいものが苦手な上に、アイスクリームもトッピングされているので、ともちゃんは食べられません。ともちゃんが、自分のグループの部屋に戻る時に、お母さんが急いでチケットと交換してきました。ともちゃんもお部屋でかき氷を見せて貰って、ともちゃんがミルクの注入をしている間に、お母さんが「おいしい!」と食べていました。

 家に帰ったともちゃんは、ヨーヨーを吊して貰って、バナナムースを食べながら、楽しかった夏祭の余韻に浸りました。

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2010年8月15日(水)

ともちゃんは、園からの日帰り旅行をとても楽しみにしています。園でも家でも、旅行の話をすると、ニャハハハハとうれしそうに笑います。

 ともちゃんが通園しているデイセンターでは、メンバーさんがいくつかのグループに分かれて、昨年度と今年度の2年の間に順番に1泊旅行に出かけています。日帰り旅行を希望したともちゃんについては、どのような形で実施するか検討してもらってきました。その結果、ともちゃんのペースに合せて個別に対応するということになり、行先は東映太秦映画村に決定しました。

 そこで、本屋さんに行って、太秦映画村の記事が載っている本か雑誌を探してみることにしました。今日のお出かけ先は、ともちゃんが好きなショッピングセンターです。いつもなら、ここで洋服を探すところですが、洋服は誕生日プレゼントで貰ったり、その前のネットショップのバーゲンでお姉ちゃんと買ったりしたので、今回はちょっと趣向の違うお店です。「本屋さんで映画村の本、探そな。」と話しかけると、ともちゃんも「アハハン!」と乗気でした。

 車に乗ると張切っていたともちゃんですが、途中で全身を硬直させるてんかん発作を起こしたので、少し様子を見ながら車椅子に乗換えます。ともちゃんの様子によっては早々に退散することも考えていますが、車椅子に移ったともちゃんはパッと笑顔を見せて、「元気やで! さっ、お買物行こ!」とアピールしています。まずは一安心ですが、カラ元気と言うこともよくあるので、ともちゃんには常に注意を払いながら、まずはミルクの注入をしに行きました。

 フードコートでのミルクの注入が終る頃には少し眠そうでしたが、本屋さんに向かうと、しっかりと目が輝いてきました。お馴染みの洋服屋さんやアクセサリー屋さんの前を通ると、華やかな店内に思わず覗いてみたくなりますが、今日は寄道は禁物です。ともちゃんが元気なうちに、目的の買物を楽しみましょう。ともちゃんは、このショッピングセンターの本屋さんに行くのは初めてですが、店内に入ると目の高さにもびっしりと並べられた本が目新しいのか、眺めながらニコニコしています。

 京都観光や夏休みのお出かけの雑誌やムックをたくさん調べましたが、一つの観光地に割かれた紙面はわずかなので、映画村が載っていてもほんの少しでした。そこへ、単行本を調べ始めたお姉ちゃんが「こんなん、どう?」と持ってきたのが、「京都太秦さんぽ」という文庫本。映画村自体は数ページですが、太秦の歴史や近くの商店街(大映通り)の紹介もあって、おもしろそうです。ともちゃんに本を見せて尋ねると、笑顔でコレと決めてくれました。

 「ともちゃんにまだ余裕があるなら、少しだけサンリオギフトゲートにも寄って欲しいわ。」とお母さん。ともちゃんのミルクの注入セットを入れる巾着が、何年も使って傷んでいるのが気になっていました。ともちゃんは、サンリオでも店内をキョロキョロ見回して楽しそう。他の子供達の騒ぎ声が聞こえる中、ともちゃんも負けじと巾着の品定めをしながら声を出して笑っていました。サイズもちょうど良くて、かわいらしい巾着が買えました。

 楽しく買い回っていましたが、筋緊張が強くなって側湾の腰が痛そうになってきました。そろそろ限界です。急いで車に戻って、抱っこで体を伸ばしました。家に帰ってから、ともちゃんはお姉ちゃんに「サンリオでは声を出して笑ってたのに、大人の人が静かに本を選んでいた本屋さんでは、声を出さずにニコニコしてたなー。ともちゃんは、ちゃんと店の空気が読めて偉いなー!」と誉めてもらいました。さあ、今日買った本を読んであげましょう。

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2010年8月28日(土)

昨夜、ともちゃんがぐっすりと眠ったのは2時間ぐらいでした。お母さんと寝室に行って抱っこで一度眠ったのに、お父さんと抱っこを交代する時に起きてしまいました。目が開いているだけではなくて、時々楽しそうに「ギャハハ」と声を出して笑っています。「お父さんの抱っこの仕方が悪いんちゃうの!」と疑いをかけられたお父さんでしたが、お母さんが再び抱っこして背中をトントンしてもダメでした。どうやら、昨日「明日は同窓会やなあ!」と話をしたのが、よくなかったようです。それで、気持ちが高ぶっているようでした。

 同窓会「夏のつどい」は、昨年までは「青年教室」と呼ばれていて、高等部を卒業して5年以内の卒業生が対象でした。今年度は、近くに新しい養護学校が設立されたため、通学区域が一部変更になって新設の養護学校へ転校して行った生徒も対象になりました。「新しい環境はどう? 元気にしてた? 久しぶりの学校で懐かしい先生や友達と楽しく過ごそう。」という趣向でPTAの主催です。ともちゃんは今年で3度目のお誘いで、毎年参加して楽しく過ごしてきました。

 ともちゃんは、生まれて以来、2歳の頃に昼夜逆転したことはあったけれど、徹夜したことはありません。このところ、昼寝もしっかり取って、よく眠ることで健康を保っていたのに、昨夜は一体どうしたというのでしょう。たとえ、両親が眠っている間に少しウトウトしていたのだとしても、こんなに寝ずにいたら、同窓会を楽しめせん。同窓会は昼からなので、少しでも寝かそうとしましたが、すぐに目が開いて「寝ている場合ではないよ。」という風でした。

 行きの車の中で、お母さんに「全然寝なかったから、同窓会で眠くなるでー。」と嫌みを言われても、ともちゃんは気にしません。「アハハハン(大丈夫)!」と余裕を見せていました。本当に、時々ボーッとしていた時はありましたが、ともちゃんは同窓会をしっかり楽しみました。先生方と久しぶりに会って、笑顔が出ていました。H園での写真を持って行って先生に見て貰ったのですが、スポーツ大会や夏祭りで自分が活躍していることを言って貰うと、うれしそうに笑っていました。

 自己紹介のところでマイクを回されると、顔を強ばらせて黙ってしまうのは、いつものことです。お父さんがともちゃんに代って「H園に通っていましたが、今度新しくできた第2H園に移りました。まいどレーヌを作っています。」と言ってくれました。そう、ともちゃん達、H園の重症心身障害者B型通園事業の利用者は、隣に建てられた第2H園に先日移動したところなのです。他の人が自己紹介している時は、ともちゃんはリラックスしていて、面白い話のところではちゃんとタイミングよく笑っていました。

 お母さんが別室での保護者交流会に出た後は、ともちゃんは先生、お父さんと一緒に焼そば作りにも参加して、手を添えて貰ってキャベツの葉を手でちぎりました。さすがに後半になると、ともちゃんはヘロヘロ。徹夜明けの人そのものです。頭の中はもうろうとしているのですが、時々意味もないのに力なく笑っていました。そろそろ、ともちゃんにとっては帰りごろ。全力を出し切ったともちゃんは、今年もみんなより一足早く帰路につきました。

 今回は、なんとか持ちこたえることができて良かったです。今は体調がいいということなのでしょうか。それとも、昨日までよく寝ておいたお陰でしょうか。いずれにしても、帰ったらゆっくり寝て、体調を崩さないようにしましょうね。そして、ともちゃんが行事を楽しみにしすぎて寝られなくなるのなら、9月に園から日帰り旅行に行く直前には、絶対もう旅行の話はしないぞと、お母さんは心に誓いました。

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2010年9月22日(水)

今年の7月、ともちゃんが通園しているH園の隣に、第2H園が完成しました。H園はすでに定員一杯なので、今年度、養護学校高等部を卒業した人達の生活介護の新しい通園施設として4月完成を目指していたのですが、工事が遅れていました。7月末には、お披露目会やお祝いの式典があって、8月からは、別の場所を借りて4月から活動を開始していたメンバーさん達が第2H園の2階に引越してきました。

 第2H園の1階は、ともちゃん達、重症心身障害者通園事業B型の制度を利用してH園に通園していたメンバーさん達を中心としたグループの部屋です。手狭になっていたH園では、ともちゃん達は健康支援室に同居させて貰っていました。今回、健康支援室も一緒に第2H園に移動です。新しい建物が出来てからは、第2H園に移る人も移らない人も、園の内部を見学したり、新しい園内に設置されたブランコに乗りに行ったりと、徐々に場所に慣れていきました。

 そして、8月24日、ともちゃんは第2H園に初登園しました。1階の部屋では1番乗りだったそうです。職員さんと看護師さんに案内されて、新しいお部屋に入った時、部屋が変わったことはあまり気にならない様子で、ニャハハハと通園を喜んでいました。ところが、新しい部屋にはまだ必要品が揃っていなくて、「お母さんと、ちょっと待っててね。」と看護師さんも職員さんも出て行ってしまうと、ガラーンとした部屋の広さが急に身にしみてきて、不安そうな顔でまわりをキョロキョロしていました。

 この日は、ともちゃんが園からの日帰り旅行に備えて、お出かけの練習をする日でもありました。部屋でバイタルチェックをした後、近くの100円ショップに園の車で出かけて行きました。職員さんに抱っこされて、お部屋の備品のS字フックを買いに行ったのです。9月からは、正式に新体制で第2H園の生活が始りましたが、ともちゃんは楽しく通園しています。場所の違いよりも、よく知った職員さんや看護師さんがそばにいて下さる方が大切なようで、新しい職員さんにも馴染んで、ゆったりと抱っこしてもらって、にこやかにミルクの注入をしています。

 さて、ともちゃんの日帰り旅行もいよいよ来週に迫って来て、事前の練習も周到に行っています。すでに今までに2回、職員さんと近くまで買物に行っています。今日はさらにステップアップして、少し遠くのショッピングモールまで行って、フードコートでミルクの注入をしました。ともちゃん自身は全く問題なく、注入の後もまだウィンドウショッピングを楽しみたいと思っているようでしたが、注入するミルクを入れた袋(イルリガートル)を吊す点滴棒を忘れました。

 ともちゃんの車椅子のフレームには点滴棒が装備されているので、普段は特に気にせずに済んでいましたが、今日は偶然にも車椅子の修理中のため、フレームは借り物を使用しているということを忘れていたのでした。大変申し訳なかったのですが、今日は職員さんと看護師さんが、交代でイルリガートルを手に持って、ともちゃんの傍に立つというシンプルな方法で乗切りました。当日は、忘れ物や不備が無いように十分注意しなければと、改めて思うお母さんでした。

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2010年9月27日(月)

今日は、今年度のともちゃん最大のイベント、園からの日帰り旅行です。ともちゃんは、早くからずっと京都東映太秦映画村に行くことを楽しみにしてきました。園でも、今日に備えてお出かけの練習をしてきました。お母さんも練習での不備を反省して、持物チェックを入念に行い、予備のミルクも用意しました。でも、興奮し過ぎて体調を崩すことを懸念して、ともちゃんには今朝まで今日がその日であることは伏せていました。

 起きてきて、「今日は映画村に行く日やでー。」と告げられたともちゃんは、「おっ、そうなんや!」と思い当ったように、ニコニコと機嫌良くなりました。が、しかし、体力には勝てません。このところ体調が絶好調ではなくて、ともちゃんは朝からウトウトとよく眠っていました。今日も朝からウトウト休憩をとりながら、なんとか朝食を食べ終えたものの、園からのお迎えの車が来た時も眠っていました。

 映画村に着いて、最初にパディオス1階のレストランでミルクの注入をした時も、大きなあくびをしてぼんやりした顔で過ごしました。楽しみにしていた映画村に来ているのに、それも意識せず、元気のないともちゃんの様子に、お母さんも職員さんも「今日は無理せず、来れただけで良しとしましょう。」と話していました。そして、「ほんの一時でも、ともちゃんが『映画村に来てるや! 楽しい!』と感じられればいいな。」と願っていましたが、その時は意外と早く訪れました。

 パディオスを出ると、そこは明治時代の町並み。一気に現実世界から飛ばされた感があってテンションが上がるのですが、ともちゃんは目を閉じて車椅子に揺られていました。芝居小屋中村座を左手に折れると、そこからはずっと江戸の町の景が続いていて、芝居小屋の案内のお姉さんも江戸娘姿です。2時半から水戸黄門の撮影がこの辺りであるらしく、撮影機材を積んだカートが土煙を上げて町を駆抜けていました。そんな中、町人の格好をした役者さんに一緒に写真に入って貰いました。

 役者さんが屈んで、ともちゃんの顔を覗き込んで何やら話しかけてくれると、ともちゃんは「あっ、おっちゃん、チョンマゲや!!」としっかり目を見開いて、「ニャハハハハ!」と満面の笑顔になりました。百聞は一見にしかず。チョンマゲの町人さんに出会って、ともちゃんの中の好奇心が一気に弾けました。「映画村やー!! 楽しいわ!!」今まで、体力をセーブしてきたことが幸いして、一時どころか、この後ずっと目を輝かせて映画村を楽しみました。

 江戸の町を巡りながら、町奉行の役人さん、町娘さん、お侍さんと出会う度に、一緒に写真を撮りました。芝居小屋に入って南京玉すだれの実演も見ました。川の端では、黄門一行のうっかり八兵衛さん(林家三平さん)が水戸黄門漫遊記の解説をするシーンを撮影しているのにも出会い、立止って見学しました。江戸の街並みの他にも、遠山の金さんのお白州や遊郭、怪獣の出るプール(怪獣が沈んでいると船着き場になる)など、意欲的に映画村の端から端まで闊歩しました。

 もちろん、ともちゃんはお買物も楽しみました。最初の買物は、お化け屋敷に至る小路の両側に並んでいるお土産屋さんです。お母さんがキティちゃんのリストバンド(ともちゃんは、パルスオキシメータのセンサを着けるのに、自宅でリストバンドを常用しています)を見つけました。ともちゃんに「これ、どう? 買う?」と尋ねましたが、ともちゃんは、ここでこれを買ってしまってよいものか、迷っていたようです。それというのも、ともちゃんは、映画村キティちゃん(黄門さま、暴れん坊将軍、銭形平次)があることを事前に調べて、知っていたからです。

 決めきれないともちゃんに、お母さんが「他にも買うけど、これも買うとこか。」と言って、職員さんがともちゃんの財布を持ってお金を払いに行って下さると、硬い表情で困っていたともちゃんが「エヘヘヘ」とうれしそうな顔になりました。やっぱり買いたかったようです。旅行の最後にスタジオマーケットに入ると、ともちゃんはニコニコはりきっていました。予定通り、ここで黄門さまキティちゃんと暴れん坊将軍キティちゃんのタオルを買って、お姉ちゃんにはスティックケーキ、お父さんには黄門さまの印籠を買いました。

 ともちゃんが長い間楽しみにいていた園からの日帰り旅行は、こうして無事に大喜びのうちに終わりました。また一つ園での楽しい体験が増えました。

<後日談>
 ともちゃんが撮影を見学した水戸黄門の八兵衛さんのシーンは、10月10日の12時54分から放映された「水戸黄門第42部ナビ」という番組のものでした。1分間ほどのシーンでしたが、家族でTVを見ながら「この右手のずっと奥の方で撮影を見てたんやんなあ!!」と大騒ぎでした。

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2010年10月10日(日)

「なあ、ともちゃん。今度、お母さんをショッピングモールに連れて(って)あげて。ともちゃん、ショッピングモールのこと、よう知ってるやろ。お母さん、ブーツ買いたいねんて。」。「ニャハハハ。」と、ともちゃんは機嫌よく引受けてくれました。「来週の3連休のうちに行こか。」と日にちも決まりました。そんなところへ、6日の通園では2010年度上半期のボーナスを頂きました。お母さんが職員さんに「買物に行く予定だったので、ちょうど良かったです。」と話すのを聞いて、ミルクの注入をしていたともちゃんは、パッと笑顔になりました。

 ともちゃん達、デイセンターのメンバーは毎日仕事をしているわけではありませんが、活動の中に仕事も取入れて貰っていて、売上げで得た利益を年2回ボーナスとして頂いています。ともちゃんは、自分で稼いだボーナスを持って買物に行くことが大好きです。「ともちゃん、ボーナスで何買うん?」。ともちゃんは、家族みんなに聞かれていました。「秋からの服買う?」、「アウーン。」。「今シーズン、どんな服が出てるかネットで調べよか。」、ともちゃんはニコニコして、買物を楽しみにしているのが本当によく分ります。

 最近、園の行事の時は、ともちゃんが興奮しすぎて体調を崩すことを警戒して、事前にあまり煽らないようにしていましたが、今回は別です。家族とのお出かけなので、ともちゃんの体調に合せて自由に日を変えることができます。「お父さんもベルト買うわ。」、「お姉も保温できる水筒買うで。」。昨日も、買物話で盛上がり、今朝もご機嫌で起きてきました。ともちゃんは、元気です。いつもなら、なかなか終らない奥歯の歯磨きも、すんなりと口を開けて、さっさと済ませました。車の中でもはしゃいでいました。

 さて、3階から順に、ともちゃんの服を見て回ります。ともちゃんは、目を輝かせて洋服屋さんに入って、店内をキョロキョロ、ニコニコ。ネットで調べた通り、雪の結晶などのノルディック柄やファーの付いた物がたくさん並んでいました。手に取って見せて貰ったり、身体に合わせて貰ったりして、「ノルディック柄のニットベストがええなあ。」と決まりました。でも、残念ながら、ここのは色がともちゃん向きではありません。「2階のお店も見てみよか。」。

 張切って移動していたともちゃんは、途中の店で、お母さんとお姉ちゃんが、3足選り取りの靴下を選び出したので、つまらなそうな表情になってしまいました。「ともちゃん、ごめんなー。ともちゃんのベストを探しに行かんと、あかんやんなー。」とまた動き出すと、笑顔を取戻してくれました。今回は買物がたくさんあるので、要領よく回るため、2階ではお父さんは別れてベルトを買いに行きました。お姉ちゃんの水筒は、来店してすぐに買いました。

 2階でも、ともちゃんはいくつかのお店を見て回り、トナカイの絵柄のグレー系のニットベストを見つけました。ここの店ではとても積極的で、お姉ちゃんが他にも良い物がないか見てきてあげると店内に入ると自分も入りたがって、狭い通路を注意しながら車椅子でずんずん入って行くとギャハギャハと笑っていました。別の店でも、雪の結晶柄のグレーのベストを気に入っていて迷ったのですが、トナカイに決めました。ともちゃんはボーナスをポーンと全額払って、足らない分はお母さんに出して貰いました。

 ともちゃんは、ベストの入った紙袋を持たせてもらって、ニコニコ自慢げです。トナカイのベストは、ともちゃんの手持ちのピンク系の洋服とよく合いそうです。この後、サンリオや1階の食品売場で買物をしました。朝からよく笑っていたので、車椅子に乗っている姿勢が崩れてきて、身体を伸ばして車椅子に座り直したりもしました。ともちゃん的には、そろそろ潮時です。エレベータで駐車場に向かうと思ったのでしょう。靴屋さんの前で止まると、ともちゃんは怪訝な顔をしていました。

 「ともちゃん、お母さんがブーツ買いたいから、ともちゃんに、ショッピングモールに連れて(って)やって言うてたやろ。お母さん、今ブーツ買ってるから待ったげてな。」。お姉ちゃんに言われて、「アハハン!(そうやったわ!忘れてた!)」とともちゃんは笑顔を見せて、納得してくれました。家族それぞれに買ったお気に入りの商品を持って、今度こそエレベータで駐車場に上がり、ともちゃんは車の中でリラックスしながら、家に帰りました。お買物は本当に楽しいな!

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2010年10月23日(土)

夏前頃から、特に夜間、ともちゃんに胃食道逆流現象があるのではないかと疑われることがよくあって、心配していました。それで、昨日から今日にかけて、逆流があるかどうかを調べる検査をしました。体内の酸性度を測るpHメーターのセンサーを鼻腔から胃と食道に通し、普段の生活をしながら24時間留置して、それぞれの位置の酸性度を記録するというものです。入院することも、ともちゃんに負担をかけることもなく、無事終了しました。検査結果は、後日受診して聞くことになります。

 昨日は、予約してあった午後1時より少し前に、付添いのヘルパーさんと一緒に支援センターの車で病院に着きました。事前の指示で午前11時以降は食べ物も飲み物も絶食しています。ここ数日ともちゃんの体調は優れず、痰が多かったり、ウトウト眠くて食事が進まない日が続いていました。当日、痰が絡むとセンサーがスムーズに入らないのではないか、絶食時間までに朝食が食べられないとお腹が空くのではないかと心配しましたが、幸い体調は落着いていて、朝食もしっかりと食べられました。

 しばらく小児科の前で待った後、放射線科に行くように指示され、X線TV室の前で今日初めてお目にかかる小児外科の先生を待ちました。小児神経の先生によると、逆流症の検査は小児外科の先生が行って下さるとのことで、X線で透視しながら胃や食道の中のセンサーの位置を定めて留置するのだそうです。お母さんは、ともちゃんの様な重症心身障害者の状態をよく分った先生に処置して貰うことを強く望んでいましたが、重症心身障害者もよく診ておられるとのことでした。

 小児外科の先生が来られて、絶食時間の確認があった後、X線TV室の中に呼ばれました。ともちゃんは鼻には栄養チューブと酸素を送るカニューラを着けています。お母さんが「少しの間カニューラを外しても大丈夫です。」と伝えたので、先生から「カニューラを外して、ともちゃんをX線透視の台の上に載せたら、出て行って下さい。」と言われました。「曲げていた方がいいですね?」、先生は台の上のともちゃんの膝にマクラを夾んで、手伝っていた学生さんに足を屈曲したまま支えておく様に指示されていました。

 ともちゃんの処置が終るまで、お母さんはヘルパーさんと扉の外で待っていました。心配性のお母さんは、先生にともちゃんの状態をちゃんと伝えることのないまま部屋を出てきたことが不安でした。それで、「痰を吸引してから出てきたら良かったかなあ。」とか「ともちゃんの鼻腔から胃にチューブを入れるのは、(寝かせてより)抱っこした方が入りやすいと思うけれど・・・」などと落着かない気持ちをヘルパーさんに聞いて貰っていました。

 小さくコンコンと聞こえて、「あっ咳」と耳を澄ますと、今度は大きくコホンコホン。「咳き込んでいますねえ。」と気にしていると、「はい、終りです!」。「××して下さい。」と言う声がして、「入って来て下さい。」と中に呼ばれました。待っている間は長く感じましたが、先生が来られる直前に、お母さんが時計を見た時から約10分の経過です。ですから、ともちゃんがX線TV室に入っていたのは5分位のものだったのでしょう。

 ともちゃんは、普段通りの顔つきで、台の上にごろりと寝かされていました。栄養チューブと同じ右側の鼻の穴にはブルーのコードが入って、テープでしっかり止められていました。鼻のコードはおよそ1m位の長さがあって、先には約12cmX7cmX3cmのpHメーター本体が繋がっていました。これで測定して、記録も取ります。pHメーターのアースはともちゃんのお腹から取られていて、大きなテープでぺったりと貼られていました。「鼻のコードが抜けないよう、本体への差込みも抜けないようにして下さい。本体のボタンは決して触らないこと。お腹のアースがあるので、入浴は控えるように。」と注意を受けました。

 ともちゃんは車椅子に乗って、酸素カニューラを着けて、車椅子が動き出すとエヘヘンと笑顔を見せてくれました。お母さんは、センサーを入れてもともちゃんの負担になっていないことが分って安心しました。

 自宅では、コードが抜けないように気をつけて過ごしていました。家に帰って改めて本体を見てみると、2つのpH値と時刻が表示されていることが分りました。また、食事や就寝などを表すボタンも付いていて、先生が触らないように指示されていたのは、このことかと納得しました。観察していると、食事中、食後、抱っこで寝ている時、布団に置いた時、それぞれに2つのpH値は大きく変化していました。そして本日、無事24時間の測定が終りました。指示通りセンサーを鼻腔からスルスルと抜取り、pHメーター本体と共に病院に返却してきました。

 実は、この検査のことを別の病院で尋ねた時には、1泊入院して行い、X線透視で鼻からセンサーを入れる時にはともちゃんを注射で眠らせて処置すると説明を受けていました。ともちゃんに、負担をかける検査は嫌だなと躊躇していたのですが、今回、こんなに簡単にpHメーターの検査を終えることができて、ともちゃんの家族はホッとしています。

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2010年11月3日(水)

今日はH園のフェスタでした。秋が深まると体調が心配なともちゃんですが、体調も良く、まいどレーヌの販売、お買物、舞台にゲリラライブの観覧と、目一杯フェスタを楽しみました。フェスタは、H園のデイサンター、ワークセンター、支援センターの3センターと、ともちゃんも通う第2H園を合せた、H園全体のお祭です。園のグラウンドに、メンバーさんが園の活動で作ったものを販売するお店や食べ物屋さんが並び、舞台もあります。地域にも開放されて、たくさんの人が来て下さいます。

 ともちゃんは、事前に張切り過ぎると当日疲れてしまうので、家族は今回も煽りすぎないようにしてきたつもりです。しかし、昨晩ミルクの注入中に、ともちゃんはハタと思い当ったようにうれしそうな顔をして、突然「ニェヘヘヘ」と笑い出しました。どこから何を悟ったのでしょうか。それからは、寝室に行ってもギャハギャハはしゃいで夜更かし朝寝坊でした。出かける頃には眠たくて、困った状態ですが致し方ありません。

 第2H園のともちゃんのグループの部屋は、未だかつてない賑わいでした。それというのも、ともちゃんのグループ「つむぎ.be」グループは、毎日ではなく曜日を決めて週に何日か通園する制度(重症心身障害者通園事業B型)を利用して通園している人達が中心のグループだからです。今日はフェスタということで初めて全員が揃い、ご家族も大勢来られていました。折角の機会なので、全員で集合写真を撮りました。

 「つむぎ.be」は、以前に所属していたH園のグループと一緒に「まいどレーヌ」を製造販売します。通園日の都合上、今回は製造に参加できなかったともちゃんは、当日の売り子さんをします。前から楽しみにしていたので、早速お店番に入ったのですが、寝不足がたたってぼんやりしていました。それでも、お買上げがあってみんなが喜んでいると、ちゃんと感じて笑顔が出ていました。

 お仕事の後は、隣の店でお買物をしました。一昨年のフェスタでお気に入りのネックレスを見つけたビーズ小物のお店です。今年はストラップが中心で、ともちゃんが視線でかすかに選んだ赤いかわいい色合いのものを買いました。ともちゃんは全般的に反応は鈍いものの、ここでも要所要所は分っているようで、職員さんにお金を払って貰っている間に「アハー(買っちゃった)!!」とホンワリ笑顔を見せて、お買物を喜んでいました。

 次は会場内をゆっくりと回ってみることにしました。舞台では、園のメンバーさんも参加している地域のダンスサークルが揃いの衣装でソーラン節を演じていました。ワークセンターの先輩達も飛入りで踊っていて楽しそうです。天気にも恵まれて、地域の方々も大勢来ていて、会場は活気に溢れています。まいどレーヌも完売しました。たくさんの食べ物屋さんも売切れが続出していました。お母さんが最後のネギ焼きを買う頃にはともちゃんも眠さを振切って、しっかりと覚醒してきました。

 H園と第2H園の各グループを紹介する大きなポスターが貼られています。「これ、みんなで一生懸命作ったもんねえ。」と、ともちゃんは、職員さんに話しかけて貰っていました。お母さんは、連絡帳にあった「ちぎり絵でのポスター作り」とはこれのことだったのかと納得しました。ポスターを見ていると、園庭の隅の方で何やら準備をしています。行ってみると、有志の方のライブが始まり、ともちゃんは思いがけないギターの音や歌声をニコニコと聞いていました。予定時間を超過して、フェスタを楽しみました。

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